カテーテル誘導のワイヤ抜き忘れ 患者死亡 大阪

 大阪府寝屋川市の病院で平成29年11月、カテーテル治療を行った男性患者の体内に、カテーテルを誘導するためのワイヤを抜き忘れる医療ミスがあったことが4日、大阪府警への取材で分かった。男性は転院先の病院でカテーテルを抜く際、心臓を損傷して死亡した。府警は業務上過失致死容疑で捜査している。

 府警などによると、死亡したのは寝屋川市の無職、鈴木博さん=当時(69)。29年11月に床ずれの治療のため受診した「寝屋川生野病院」で肺炎と診断され、栄養輸液を摂取するため脚の付け根の静脈からカテーテルを挿入した。その後、カテーテルを目標地点まで誘導するために使った約1メートルの金属製ワイヤを抜き取る必要があったが、体内に放置されたままになっていた。

 鈴木さんは30年2月、転院した「明生病院」(大阪市都島区)でカテーテルを抜き取ったが、その後に容体が急変し死亡。司法解剖の結果、心臓の周囲に血がたまっており、体内に残っていたワイヤが心臓を傷つけたとみられる。

 明生病院の楠田武生(たけお)院長や担当医は4日に記者会見し、「入院患者が死亡したことは申し訳なく思っている」と謝罪。その上で、カテーテルを抜き取った処置は適切だったとし、心臓が損傷した原因は分からないと説明した。

 一方、寝屋川生野病院を運営する「社会医療法人 弘道会」は「カテーテルを抜き忘れたのは事実で大変申し訳なく思っている。警察の捜査に全面的に協力していく」としている。