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戸籍の取り寄せ、変わります 遺産相続をシンプルに 「改正不十分」の声も (1/3ページ)

 現住所から離れたところに本籍地がある自分や両親の戸籍謄本や抄本などを、最寄りの市区町村役場で取り寄せられるようにする戸籍法改正案が今国会で可決、成立する見通しとなった。戸籍提出を求められる局面で、手続きがより簡単になるが、特に、自分だけでなく親族の戸籍をそろえなければならない遺産相続では大いに助かりそうだ。ただ、兄弟姉妹や伯父や叔母などの戸籍については、現行通り煩雑な手続きが必要となるため、「改正が不十分だ」という声もあがっている。(菅原慎太郎)

     

 戸籍は市区町村ごとに管理されるため、現行では、別の自治体の役所で直接取ることはできない。本籍地が現住所から離れている場合などは、戸籍のある自治体に電話や書類などで問い合わせ、請求して、送ってもらう必要があり、数日かかってしまうケースもある。

 取り寄せる戸籍が、自分のもの1通ならば、それでもいいかもしれないが、遺産相続となるとそうはいかない。

 例えば、父親が亡くなったとすると、親子関係などを証明する必要もあるため、父親と残された母親の故郷の本籍地から、戸籍を取り寄せなければならない。

 しかも、戸籍はそれぞれ1通とは限らない。本籍地は結婚や転居に伴う転籍(除籍)などで変わり、複数の市区町村に戸籍が存在することは珍しくないためだ。相続の際には、こうした複数の戸籍をそろえなければならないため、手続きはかなり煩雑になる。

 今回の改正は、この手続きをシンプルにし、現在住む自治体で、自分と直系尊属(父母、祖父母など)と直系卑属(子や孫など)の戸籍を請求できるようにするもの。請求を受けた自治体が、全国ほとんどの市区町村の情報を集約する国の新システムに照会する形で、異なる自治体が管理する戸籍を提供する。

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