書評

『音楽と出会う 21世紀的つきあい方』岡田暁生・著

 ■音楽と人間の行く末を大胆予測

 近代西洋音楽史を専門とする音楽学者が、大きく変容したここ数十年の音楽現象を、批判的なポーズで分析し、音楽と人間の行く末を大胆に予測した現代文化論だ。

 例えば「癒やし」や「元気」を音楽に求める風潮。近い将来、5秒で癒やすとか、元気を注入する音の濃縮サプリが登場し、この世界が音楽不要になることもありうると著者はいう。「人工知能(AI)」で、過去の作品をコピー&ペーストした自動作曲は可能で、作曲家もそのレベルの者が多いという。著者は人間の知能と本能がAI並みに低下しつつある現状こそが問題だと警鐘を鳴らす。(世界思想社、1700円+税)

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