ライフ

「冷房をつけて寝ると体に悪い」はウソ 最低でも3時間は部屋を冷やすべき (3/3ページ)

 冷風が直接当たると体調を崩しやすい

 エアコンをつけたまま寝ると、頭痛や身体のだるさなどが生じ、不調となる人がいる。原因としては、設定温度が低すぎること、あるいはエアコンからの冷風が体に当たり体温を奪われることが挙げられる。冷風が直接当たらないように、眠る場所と気流の位置関係には注意したい。

 最近のエアコンは、付けたり消したりするよりも継続的に使用した方が、電気料金がかからない。人工知能も装備して、睡眠中も快適な温度・風向を維持してくれる高機能エアコンもある。古いエアコンを使っている人は、「まだ動くから大丈夫」とは言わずに、新調してみることも快眠への確実な方法である。

 寝具は通気性・吸湿性を意識して選ぶといい

 入眠が体温の放熱にかかっているので、寝具については通気性という特徴が最も重要と考えられる。寝具については温度設定が難しいので、具体的な数値を書いても実践的ではないので省力する。理想的には、やや固めで、通気性や吸湿性の優れたマットレス、布団ということになる。覚醒してしまう刺激にならない温度に冷却した冷却枕も、暑熱対策として効果的である。

 寝具については、好き嫌い、合う合わない、という好みの個人差が大きい。体格のがっしりした人は固めを、華奢な人は柔らかめのマットレスを選ぶ傾向があるとは言われるが、しっかりとしたエビデンスは乏しい。基本を押さえた上で、自身に合ったものを選ぶのがいちばんである。

 通気性や吸湿性を重視するならスポーツメーカーのウェアもいい

 睡眠時の着衣、パジャマについても寝具と同じであり、大切なのは通気性や吸湿性である。一流ホテルなどのパジャマは、たしかに心地いいものばかりだ。優れた着衣も多く販売されているが、パジャマをわざわざ買うのは面倒、Tシャツで十分という人も多いだろう。

 わたしは、スポーツメーカーが販売しているトレーニングないしランニング用の少し大きめのTシャツを使っている。あくまで私見だが、専門メーカーが最高の技術を駆使して開発したウェアは、非常に優れた通気性・吸湿性をもつ着衣なのではないだろうか。睡眠時に使用するコンプレッション(部分的に身体を圧迫する)機能をもつものも発売されているが、エビデンスは不十分である。また、安価な合成繊維のものは、通気性も吸湿性も乏しく、乾燥による静電気発生の可能性もあるので、やめるべきだ。

 裸で寝るのも推奨できない。エアコンや明け方の気温低下で、体温が奪われやすい。また、着衣に付着するはずの汗や皮脂が寝具についてしまい、毎日洗濯するのならば話は別だが、不潔になり衛生面での問題が生じてくる。

 西多 昌規(にしだ・まさき)

 精神科医 医学博士。早稲田大学スポーツ科学学術院・准教授。

 東京医科歯科大学卒業後、スタンフォード大学医学部客員講師などを経て現職。『テンパらない技術』(PHP文庫)、『休む技術』『眠る技術』(ともに、大和書房)など著書多数。

 (精神科医 西多 昌規 写真=iStock.com)(PRESIDENT Online)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus