□『心。』稲盛和夫著(サンマーク出版・1700円+税)
希代の経営者、稲盛和夫が“心を高め、経営を伸ばす”ため、燃えるような思いで練り上げた経営哲学が「フィロソフィ」だ。先日行われた、稲盛が塾長を務める経営者の勉強会「盛和(せいわ)塾」の最後の世界大会でも、フィロソフィを大切にせよというメッセージが会場に流された。
その中の一つに「人生方程式」がある。
「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」という方程式が意味しているのは、能力は一つの要素にすぎず、考え方や熱意は足し算ではなくかけ算できいてくるということ。つまり考え方と熱意が、人生・仕事の結果を出すための鍵なのだという教えだ。
この方程式における“考え方”こそ、本書で言うところの「心。」である。
第二電電に挑戦した際も、JALの再建を引き受けた際にも、彼は「動機善なりや、私心なかりしか」と何度も自問自答した。
正しい心(考え方)を持っていなければ、能力があればあるほど、熱意が強ければ強いほど、大きなマイナスになってしまう。