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40代会社員は「退職金1000万円未満」を覚悟せよ 運用重荷、廃止や削減も (1/3ページ)

 老後の家計を支える会社の退職金や企業年金。運用の重荷から、廃止や削減をする企業が増えている。これからどうなるのか。「プレジデント」(2019年8月30日号)の特集「役所も医者も、誰も教えてくれない『認知症の全対策』」より、記事の一部をお届けします――。

 企業の退職金制度は、危機的状況にある

 「じつは以前に会社の役員会議で退職金制度の廃止の是非について議論が行われたことがあります。一時は廃止にしてその分を毎月の給与に上乗せする前払い方式が優勢になりました。結果的に退職金を減額して存続することになったのですが、いまでも社内では廃止論がくすぶっています」

 こう語るのはある東証一部上場企業の人事部長だ。国が公的年金の補完として期待する企業の定年退職金もいま、危機的状況に陥っている。

 「退職金」は退職一時金と定年後に年金として受け取れる退職年金(企業年金)で構成される。

 厚生労働省の就業構造基本調査によると、会社員(大学・大学院卒)で勤続35年以上の場合、平均退職金額は1997年では3023万円だったのに対し、2017年の調査では1997万円と1000万円以上減少している。だが、あるだけまだましだ。同調査では、退職金制度を廃止したという企業も08年の16.1%から18年は22.2%に増加。退職年金を廃止し、退職一時金のみにする企業も増加している。

 だがじつはこの退職一時金、もらえないリスクもある。NPO法人金融・年金問題教育普及ネットワークの植村昌機事務局長は「退職一時金はあくまでも自社内での積み立てなので、定年時にはいくら払いますと社員に約束していても、業績が悪化すれば払えなくなる可能性もある」と指摘する。退職一時金の先行きには不安が残る。

 もう一方の企業年金についてはどうだろうか。企業年金(確定給付年金)は企業が外部の金融機関に積み立てを行うので、会社が倒産しても受給権は保護され、利率も企業が保証する。こちらは大企業に優位な制度とされている。一方で中小企業では廃止する企業が増加中だ。本来は公的年金を補完するものとして、国が推し進めてきたが、いったいなぜこんな事態が起きているのか。植村事務局長はこう指摘する。

 「国は中小企業の多くが加入していた企業年金にあたる『適格年金制度』や『厚生年金基金制度』を00年以降廃止し、新たに制度化した安定的な企業年金制度に移行するよう誘導しました。ところが適格年金廃止に伴い、何らかの制度に移行したのは6割にすぎず、4割が移行していません。その結果、企業年金制度を廃止して退職一時金のみの企業が増えたのです」

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