フィンテック群雄割拠~潮流を読む

フィンテックで地銀は生まれ変われるか?(後編) 地銀発アプリの魅力 (3/3ページ)

甲斐真一郎
甲斐真一郎

 地銀はフィンテックで息を吹き返す?

 人口減少、高齢化などにより収益力の落ち込みが囁かれ続けている地銀ですが、地域経済の活性化や地方創生のためには、地銀の再生は不可欠な課題です。地元企業を支えて、地域経済を活性化する大事な役割を担っている地方銀行という存在は、僕たちが考える以上に重要な存在なのかもしれません。

 「地銀再編」「収益の先細り」など、マイナスのニュースが多い中で、本当の意味の地域創生を考えることは、きっと簡単なことではないでしょう。しかし、新しいヒト、モノ、カネの流れを生み出す場を、テクノロジーの力を用いてスマホの中に創れてしまう時代でもあります。

 地銀は地域に深く根ざしていて、各地の企業と個人への地方密着型のサービスを提供してきた長い歴史があります。預金、資産運用、地場企業への融資、保険、住宅ローンなどの金融サービスはもちろんのこと、地域活動、地場復興、街おこし、街づくりという地域活動にも大きな影響を与えてきているはずです。そんな地銀が、最先端のフィンテックと交わることできっと新しい何かが生まれると僕は確信しています。

 地域の企業との強い繋がり、地元の人々からの厚い信頼を長い年月をかけて積み重ねてきた地銀が、ローカルに特化したデータなどを活かすことで、様々な未来図が描ける余白は、多く残されているのではないか。僕には、そんな風に思えるのです。

甲斐真一郎(かい・しんいちろう)
甲斐真一郎(かい・しんいちろう) 「FOLIO」代表取締役CEO
京都大学法学部卒。在学中プロボクサーとして活動。2006年にゴールドマン・サックス証券入社。主に日本国債・金利デリバティブトレーディングに従事。2010年、バークレイズ証券に転籍し、アルゴリズム・金利オプショントレーディングの責任者を兼任する。バークレイズ証券を退職後、2015年12月に、手軽に資産運用、株式投資を楽しめるフィンテックサービス「フォリオ」を提供するオンライン証券会社「FOLIO」を設立。フィンテックの旗手として大きな注目を集めている。次世代型投資プラットフォーム・サービス「フォリオ」は、「ユーザー体験」「操作感・表示画面」に着目されており、テーマ投資という形で誰もが簡単に株式投資を楽しむことができるように設計されている。FOLIOはお金と社会にまつわる情報を発信するオウンドメディア「FOUND」も運営している。

【フィンテック群雄割拠~潮流を読む】は甲斐真一郎さんがフィンテックと業界の最新事情と社会への影響を読み解く連載コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら

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