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スマホ依存は「情報習慣病」 東大教授が指摘した歴史的性質 (2/4ページ)

 噂を気にする特性、生存の可能性高かった

 「さらには集団内の人間関係、つまり噂はもっと重要な情報だった。自分に関して悪い噂が流れていると、食料分配で不利になるかもしれない。男女関係の噂は子孫を残すうえでとても重要です。集団内の行動は生存に密接に関係し、進化の過程で活発にコミュニケーションをして噂を気にしながら行動する特性の方が適応的だったのです」

 --噂だといってあなどれないですね

 「いろんな情報を交換することそのものが、やがては快感になってきたともいえる。一方で、噂話のサークルに入れないと集団内で認められていないと感じて不安にもなる。つながることの快感やつながらないことの恐怖心は、狩猟採取民であった当時もいまも変わっていないと思います。だから目の前につながれる電子機器があると、つながり続けるということが起きてしまうのです」

 --不安の裏返しでもあるということですね

 「狩猟採集の時代には、ひとつのグループは全員が集まっても150人程度でした。当時の会話の基本は一対一の対面で、それでも1日の活動時間の20%ほどをコミュニケーションに割いたと考えられています。いまは電子機器によってつながることができる人数は膨大です。一対一で行っていた習性を引きずって多数とコミュニケーションを取ろうとすると、どうしてもネット依存といわれる状況に陥ってしまうことになる」

 --悪い情報やスキャンダルが拡散しやすいのも狩猟採取時代にさかのぼれますか

 「狩猟採集民にとって、あそこにうまそうなものがあるという情報よりも、あそこは危ないとか、あいつの性格が悪いとかを聞く方が大事なのです。知らないことで肉食獣に食われたり、悪いやつと仲良くなって集団内での立場が悪くなったりする。いい情報より悪い情報の方が重要なのです」

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