5時から作家塾

清掃からレクリエーションへ 欧州で拡大、「お金を払ってごみ拾い」ツアー (4/4ページ)

 日本におけるビジネスとしての可能性は

 とはいえ、このような「清掃ツアー」が旅行の一工程として人気を博すには、欧州人の旅行スタイルが背景にある。彼らは夏休みなら最低2週間、長い人なら6週間ほど取って、ゆっくりと「バカンス」を楽しむ。そしてその間もキッチン付きのコテージなどで普段通りの生活をし、気が向けば近所でやっている活動に参加する。それが清掃ツアーであっても楽しそうなら選択肢となり得るだろう。一方私たち日本人はそんなに休みは取れないし、常日頃世のため人のためによく働いているのだから、旅行中くらいは何もしないで羽を伸ばしたい。限られた旅の時間を「清掃」に割きたい人はそう多くないだろう。

 ただ、可能性はあると思う。そもそも最近よく海外ニュースで取り上げられるように、日本人は掃除好きだ。特に業者が学校の掃除をするのが主流である海外において、「日本の子どもたちは学校の掃除を自分たちでするんだって!それによって自分たちがいつも使わせてもらっている場所に感謝することや、きれいに使うことを学ぶらしいよ!」と紹介&絶賛されているのはもう目にタコができるほど(?)見たし、サッカーの試合の後のサポーターによる清掃は世界を驚愕させたのみならず、後に続く外国のサポーターの輪も広がりつつある。

 また、日本人の旅のスタイルも今後変わっていくかもしれない。特にミレニアル以降の若い世代は、旅において贅沢したり、お約束のスポットを観ることよりも、体験やレアなものを見出すことを好むという。

 紹介した欧州の例のように、観光案内やゲームと完全に一体化させて楽しい活動にしてしまうのもいいが、やはりこれからの時代「お得感」「ここにしかない特別感」のほうが強みがあるかもしれない。例えばデンマークのカヤックのように参加者は無料で何かを利用できるとか、拾ってきたゴミの量に応じて何かが割引になるとか、人気キャラとコラボしたグッズを参加者に配布するとか、普段は見られない人気スポットのバックステージをちょっとだけ見せるとか。もちろん学校と連携した教育的な活動として最適なのは言うまでもない。

 今後重要性がどんどん高まっていくであろうサーキュラーエコノミー構築の基本は「ゴミから富を生み出す」こと。こんな楽しいアプローチの充実にも期待したい。(ステレンフェルト幸子/5時から作家塾(R)

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5時から作家塾(R) 編集ディレクター&ライター集団
1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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