日本のラーメンは鶏ガラや豚骨、魚介のスープが一般的だが、鶏や魚介のスープでも、ほとんどの店でチャーシューや豚の脂であるラード、微量のアルコールを含むしょうゆを使う。一切使わない店を見つけるのは難しく、訪日するイスラム教徒にとってラーメンは、縁遠い食べ物の一つ。
だが、イスラム圏でもラーメン人気が高まっている。総人口の87%がイスラム教徒とされるインドネシアの首都・ジャカルタにある繁華街「ブロックM」はラーメン店激戦区で、インドネシア人も多く訪れる。日本で暮らした経験もあるという男性は「ここ数年で人気が高まり、店も急激に増えた」と話す。
ショッピングモールのラーメン店は、一杯250円程度で提供している。チャーシューが鶏肉であることを除けば、鶏ベースのスープはニンニクが効いており、日本人の口にも合う。客は女性同士やカップルの姿が目立つ。店員は「イスラム教徒でも食べられるように豚は使っていない。若い人に特に人気」と語る。
◇
イスラム圏は、インバウンドを増やす大きな可能性を秘めている。2018年のインバウンドは約3119万人。中国と韓国が半数を占める。
一方、インドネシアからは約39万人。10年前の約6倍だが、人口(2億5500万人)や経済成長が著しいことを踏まえるとさらなる増加も見込まれる。国民の6割がイスラム教徒のマレーシアも10年で約4倍と、イスラム圏のインバウンドは、飲食店などにとって大きなビジネスチャンスを生む可能性がある。
一方、食事に制限があるイスラム教徒の受け入れには、安心して食事ができる店とレパートリーを増やすことは必要不可欠だ。「とんこつ不使用ラーメン」は、その試金石となれるか。