教育・子育て

日本一賢い不思議な女子校・桜蔭の秘密 「モンスターのよう」と評する声も (2/3ページ)

 「リケジョ」の天国。倍率は2倍と意外に低い

 そんな桜蔭の最大の特徴、それは理系女子の多さと、医学部進学率の高さである。長年中学受験専門塾を主宰し、都内の進学校の内情に詳しい矢野耕平氏は、桜蔭を「モンスターのような学校」と評する。

 「桜蔭の東大合格者数は、近年50人から70人で推移しています。しかし、注目すべきは医学部合格者の多さです。17年には東京大学理IIIへ7人が合格していますが、全国の医学部を見ると130人が合格している(現役・浪人含む)。彼女らは東大理Iを十分合格できる実力を持ちながら、医者を目指すために他大学に進学しています。つまり1学年約250人中、半数は東大現役合格の実力を持つという、女子校でも唯一無二の存在なんです」

 矢野氏の言葉を裏づけるように、桜蔭卒業生30~50代の職業を見るとトップには「医師」が輝いている。薬剤師や税理士、公認会計士、弁護士、裁判官、教育関係者、研究者などの職業も継続的に輩出しており、いずれを見ても「女子校=文科系」という先入観は覆る。

 「世の中ではよく文系、理系と区分しますが、桜蔭の場合は文系:理系:医系で分けます。しかもその比率は1:1:1。他校と比べると圧倒的に理系が多い」

 その傾向はすでに入試問題から表れているという。男子校顔負けの硬派な問題が並び、詰め込み式の知識のみならず思考力が試される記述問題も頻出する。それは他教科にもおよび、中学入試を受ける小学生に対し、ある年の国語の問題では東大入試で出た例文が出題されたという。

 「倍率こそ2倍と低めですが、そもそも実力を持った子しか集まらないので、間違っても運で合格できるような学校ではありません」

 性差を超えた規格外能力。議論はしても喧嘩はない

 医師や東大を目指すなら桜蔭へ。これが女子のスタンダードなエリートコースの1つとなっているが、実は女子校には理系の学校が多いとおおた氏は指摘する。

 「共学校はどうしても社会の縮図になりがちです。『女らしさ』や『可愛らしさ』などの性差のバイアスに引っ張られ、女子自身が自らの能力を狭めてしまう傾向もある。特に思春期は、異性からどう見られるかがヒエラルキーを決定づけるため、容姿が優れコミュニケーション能力が高い子はトップに立ち、いわゆるオタクは最下層に落ちる。

 ところが、女子校あるいは男子校ではその価値観から解放されます。異性の目を気にせず、自分の好きな趣味や学問に没頭できるため、成果や自信も生み出しやすい。実際に女子校出身者のほうが共学出身者よりも進学先の選択肢が多様で、かつ理系に進む女性が多いことは、海外の調査でも明らかになっています」

 論理的思考能力は学問のみならず、交友関係にも影響を及ぼしている。一般的に女子の世界では、誰と誰が仲が良いか、誰がピラミッドのトップに立っているかなど、複雑な人間関係に悩まされることも多い。ところが桜蔭では、むしろ他人と必要以上につるむことが嫌がられるなど自主独立の傾向が目立つ。

 「トイレに友達と連れ立っていくなどありえない」「気が乗らなければ『今日は1人で帰る』といっても誰も何も思わない」「議論はしても学校で喧嘩を見たことがない」という話は桜蔭生からよく聞かれる。

 感情論ではなく論理的に相手を論破していく力は、長じて物事に冷静に対処していく基礎力となる。だが同時に、卒業して初めて女子同士のドロドロとした交友関係に接し、その対処の仕方に戸惑ったと語る卒業生も少なくない。性差を超えた能力と対人関係力、これが桜蔭生の特徴ともいえるだろう。

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