教育・子育て

「自由な学風」の影響か ノーベル賞受賞者、京都大から2年連続

 今年のノーベル化学賞に決まった旭化成名誉フェローの吉野彰さん(71)は京都大卒。受賞決定から一夜明けた10日、母校は祝福ムードに包まれた。京都大ゆかりのノーベル賞受賞が決まるのは11人目で、昨年の本庶佑(ほんじょ・たすく)特別教授に続く異例の2年連続。基本理念に掲げる「自由な学風」が独創的な発想を培い、ノーベル賞級の研究成果を生み出してきた。

 「京大出身者が2年連続で受賞されたことは誇らしい」。この日午前、京都大の吉田キャンパス(京都市左京区)で、農学部2年の男子学生(20)は笑顔で語った。医学部1年の男子学生(18)は「リチウムイオン電池は今や誰の手元にもあって欠かせないもの。大学ではなく企業から受賞者が出たことは、企業での研究者を目指す人にとっても大きな励みになる」と偉業をたたえた。

 日本の自然科学3賞(医学・生理学、物理学、化学)の受賞者は24人。このうち、卒業大学(学部)では京都大8人が最多で、東京大5人(米国籍となった南部陽一郎氏を含む)、名古屋大3人と続く。

 日本人として初めてノーベル賞を受賞した湯川秀樹氏は京都大理学部出身で、「中間子論」の発表で1949年に物理学賞を受賞した。その後も、朝永振一郎(ともなが・しんいちろう)氏(理学部卒)の物理学賞(65年)や福井謙一氏(工学部卒)の化学賞(81年)、利根川進氏(理学部卒)の医学・生理学賞(87年)と、京都大出身者の受賞が続いた。2014年に青色発光ダイオードの発明で物理学賞を受賞した赤崎勇氏(理学部卒)や昨年、免疫チェックポイント阻害因子の発見で医学・生理学賞を受賞した本庶氏(医学部卒)も記憶に新しい。

 一方、他大学出身でありながら、京都大での成果が評価されてノーベル賞を受賞した研究者も少なくない。iPS細胞研究所の山中伸弥所長は神戸大出身だが、京都大教授だった06年に人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作製に関する論文を発表し、12年の医学・生理学賞受賞につながった。08年に「小林・益川理論」で物理学賞を同時受賞した益川敏英氏と小林誠氏も名古屋大卒だが、成果を上げたのはいずれも京都大助手時代だった。

 研究施設数や教官数では断トツの東京大に対し、さらに差を広げる形となった今回の受賞。京都大名誉教授の佐々木昭夫さん(87)は「京都大が創立以来育んできた自由な学風が、世界に先駆ける独創的な研究を生み出す土壌になっているのでは」。京都大の山極寿一(やまぎわ・じゅいち)総長も「本学の自由の学風が、このような栄誉に少しでも寄与することができたとすれば、大変喜ばしいことだ」とコメントしている。(桑村大)

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