ヘルスケア

発達障害の「グレーゾーン」 診断レベルにありながら見落とされているケース (2/2ページ)

グレーは「セーフ」か

 障害を抱えるグレーの人が多い背景について、十一教授は専門医の不足があると分析。発達障害の認知度が高まり、障害を疑って受診する人が増える中、「専門知識が不十分な医師が障害特性を見抜けず、障害ではないとも言えずにグレーと言い出した」と批判する。障害と診断されなければ、受けられる支援の選択肢は減ってしまう。

 一方で、グレーという診断結果に安心する人も少なくない。大阪大大学院の片山泰一(たいいち)教授によると、特に学校など外部から子供の発達障害の可能性を指摘された保護者の中には、「親の感情として、グレーなら『セーフ』だと思ってしまう。だからグレーと言われるまでドクターショッピングをするケースもある」という。

 グレーの中には、確かに発達障害とは言えないケースもあるという。だが、グレーとされて何もしなかった子供より、適切な療育(専門的な治療と教育)を受けた発達障害の子供の方が、数年後には落ち着いた生活を送れることもある。片山教授は「たとえグレーと言われても、子供が現に生きづらさを抱えているのは確か。療育を受けさせるなどして、生きていきやすい環境をつくることが大事だ」と訴える。

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