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浸水被害にあったら…消毒よりまず乾燥

 わが家が浸水被害にあったとき、その後も住み続けるための片付けはどう進めればいいのか-。過去の水害で被災した自治体や被災者支援の団体が、その経験をまとめ、公開している。

 最近では平成26年と30年に豪雨・水害を経験している広島市。同市健康推進課は、浸水被害にあったときの清掃手順などをまとめたマニュアル「水害時の衛生対策と消毒方法」を作成し、公開している。

 このマニュアルは昨年7月の西日本豪雨後、床上浸水被害にあった335軒に対して、家屋の壁面などに使える消毒薬「塩化ベンザルコニウム」とともに配布された。

 「当時、水害の翌日から家屋の消毒について問い合わせが相次いだ」と市健康推進課の担当者は話す。

 しかし、家屋が浸水した場合、消毒よりも、泥や汚れを十分に取り除き、その後、乾燥させることのほうがまず大事だという。汚れの落とし方が不十分だと、消毒しても効果が出ない。

 マニュアルによると、汚れの落とし方は、屋内の場合、不要なものを片付けたあと、水で洗い流すか、雑巾の水拭きで泥や汚れを取り除く。家の周囲や床下も同様に泥を取り除くが、特に床下は土砂や水分が残ってしまうと、家の基礎の傷みにつながるため、扇風機などで強制的に換気をするとよいという。

 また消毒について、消毒液の薄め方や使い方を表のようにまとめた。消毒薬を扱う際は、ゴム手袋をはめることを勧めている。「誤って飲む事故につながることがあるため、消毒液はペットボトルに移し替えたりしないで」とも呼びかけている。

                  

 一方、阪神・淡路大震災(7年)以降、数々の被災地で支援活動を行ってきた40団体による組織「震災がつなぐ全国ネットワーク」は29年3月、冊子「水害にあったときに~浸水被害からの生活再建の手引き~」(32ページ)を作成した。

 実際に浸水に見舞われた家屋の写真やイラストを多用して、罹災証明書の発行や保険金の請求手続きで役立つ被害状況の写真を撮る際のポイントや、和室、洋室それぞれの床下の泥水被害の確認方法などを説明。また、ふすまや障子は乾かせば桟や枠が使えることがあるが、畳やじゅうたん、布団は水を吸うと使えなくなるなど、片付けに役立つ情報も掲載されている。

 ブログ(http://blog.canpan.info/shintsuna/)からダウンロードが可能。チラシ版(4ページ)は英語版もある。

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