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結婚満足度が下がる理由、男女で大きな差 お金よりもメンタルが大事? (1/2ページ)

 家事・育児の分担や家族のあり方を研究してきた立命館大学教授の筒井淳也先生は、結婚年数とともに「結婚満足度」はどんどん下がっていくと指摘。しかもそれは世界共通の現象なのだそうです。そんななかで、年数がたってもそれほど満足度が下がらない人もいます。彼らは何が違うのでしょうか。

 結婚年数とともに「やさしさ」が低下

 家族社会学では、幸福度を測る基準のひとつに「結婚満足度(配偶者満足度)」があります。前回お話した「親ペナルティ」の問題(「子どもを持つと幸福度が下がる日本社会の闇」)にもつながってくるのですが、結婚年数とともに結婚満足度はどんどん下がっていくという傾向があります。

 そして、お金の面よりも、メンタルのサポートのほうが、結婚満足度に大きく影響すると考えられています。女性からすると、経済的な条件はある程度クリアして結婚している人が多いわけなので、その上でメンタル面のサポートを夫がしてくれるかどうかが重要ですね。そして、女性側の不満が増えると、男性側の満足度も下がってしまいます。

 妻の満足度のほうが低い

 では、メンタルサポートにはどのようなものがあるか、詳しく見ていきましょう。下の図表2の数値は、配偶者が「悩みを聞いてくれる」「評価してくれる・褒められる」「適切なアドバイスをくれる」という三つの行動の累積をグラフ化したものです。それぞれ0~3点ずつで、9点が満点となっています。男女ともに、結婚年数とともに右肩下がりになっていることがわかります。

 一般的に、結婚満足度は女性のほうが低く出ます。理由は、男性は「悩みを聞く」「褒める」などの行動を女性に与えられていないから。例えば女性が「ちょっと大変なの、聞いて」と言ったら、男性はすぐに「どうして? 原因は?」と尋ねて問題解決をしようとしてしまう。女性からすると、話を聞いてくれたらそれでいいのかもしれません。しかし男性は、そういったコミュニケーションが苦手なのです。これが数値に表れている可能性があります。

 子どもができると満足度は急降下

 一方男性の結婚満足度が下がっていく理由としては「自分好みの評価を与えてもらえない」というのがありそうです。例えば、子どもができたら女性はそちらに意識がいくでしょうし、家事や育児はできて当たり前だという評価になっていきます。

 実際に、子どもがいない夫婦の数値は非常に高くキープできています。しかし、子どもができた瞬間に突然下がるのです。

 実は、結婚満足度が結婚経過年数とともに低下していくのは、世界共通です。調査を実施した国では、のちに上がる国はありませんでした。昔は、子どもが大きくなると再び上がってくるという説もありましたが、厳密に分析した結果、そうではないことが分かりました。

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