利用者に戸惑いも?
ただ、これまでの方式に慣れた利用者からすれば戸惑いもあるに違いない。発車時刻が見えなくなることで、遅れがあいまいになるのではないか(より直接的にいえば遅れが隠されるのではないか)という疑念や、乗り換え検索アプリなどで調べた列車の発車時刻を頼りに乗車する列車を選んでいた人からすれば、この列車で合っているのか不安が生じるということもあるだろう。
JR東日本は、利用者の反応を見つつ、今後他の路線にも展開するか検討したいとしているが、運転間隔が10分を超える路線(現実的には当面の目安は5分だろう)、行先や種別が複雑な路線、あるいは通過待ちなどで到着時間と発車時間が異なる駅では必ずしも分かりやすい案内とは言えないだろう。全面的な切換えではなく、一部の路線では発車時刻の案内が引き続き用いられることになるはずだ。
もうひとつ、発車時刻に縛られなくなることのメリットもある。たとえば10時00分発車の列車は、10時00分にドアが閉まって発車するのではない。列車の発車時刻は、正確には列車が動き始める時間のことであり、当然動き始めるまでにドアを閉めなければならないので、ドアは9時59分のうちに閉まり始める。しかしほとんどの利用者は、発車時刻とはドアが閉まる時間と解釈しているため、発車時刻よりも早く出発してしまったというクレームに繋がることになる。更にややこしいことに、時刻表や案内表示では示されていないが、発車時刻は秒単位で決められており、同じ10時00分発でも、00分00秒だったり、00分50秒だったり、見えない端数が付いている。鉄道事業者からすれば、あと○分の表示にすることで、こうした解釈のズレが解消されるという期待も込められているのかもしれない。
【鉄道業界インサイド】は鉄道ライターの枝久保達也さんが鉄道業界の歩みや最新ニュース、問題点や将来の展望をビジネス視点から解説するコラムです。更新は原則第4木曜日。アーカイブはこちら