クルマ三昧

EVの“音”を楽しむ時代が始まった BMWやジャガーが放つ驚きの咆哮 (1/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 「すべてのクルマがEV化されたら、サウンドを楽しむ文化がなくなるのだね」-。5年ほど前に僕は友人達と、そんな心配で盛り上がった。

 ガソリンを燃やして推進力を得る内燃機関は、シリンダー内に充填した混合気に着火したときのサウンドが、排気管を通じて吐き出される。あるいは、バルブやカムシャフトが金属を叩く、いわば耳触りなノイズが迫力あるサウンドに置き換わり、クルマに息吹を与える。それが内燃機関の魅力のひとつである。

 ポルシェやフェラーリを象徴するサウンド

 ポルシェの水平対向エンジンは長い間、カーフリークを虜にしてきた。ボクサーサウンドに惹かれた者は少なくないと。フェラーリの跳ね馬が嘶くような高回転の響は、誰をも魅了する。アメリカンV型8気筒が地べたに落す唸り声は、力強さの象徴である。

 EVにはその魅力がない。EVの世界はエキゾーストノートのない世界である。そんな味気のないクルマなんて…。そう嘆いたのが冒頭の会話である。

 ただ、ある一人の友人がこういって将来に光明を照らした。「その頃になれば、インバーターの音が良いねぇ、なんてことになるかもしれないよ。モーターが響かせるキーンといった高周波音を聞きながら、やれポルシェの音は力強く、フェラーリのモーター音は官能的だとかなんとか、そんな時代になる」。そう予言したのである。

 ガソリンエンジンのように脳天を刺激するようなサウンドを響かせることはない。ただ、金属質の高周波サウンドはインバーターやモーターが奏でている。それを官能的とは思えないが、いずれその音質が魅力なのだと囁かれる時代が来ないとは僕には言いきれないのだ。

 ともあれ、それを待ちきれない…という風潮が日増しに高まっている。世界の多くのメーカーが、擬似的なサウンドチューニングに力を注ぎ始めたのだ。

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