ヘルスケア

女性薬剤師による「女性のかかりつけ薬局」が人気 啓発支援も

 大阪のオフィス街にある薬局が「女性のかかりつけ薬局」として人気を集めている。2人の女性薬剤師が月経や肌トラブルなど女性特有の悩みや病気の相談に応じるほか、処方箋の必要のない高品質な医薬品の紹介や、会員制交流サイト(SNS)を通じた相談も受け付ける。薬剤師は「女性のための薬局は珍しい。男性薬剤師には話しづらいことも気軽に話してもらえたら」と話している。

 大阪メトロ御堂筋線本町駅近くのオフィスビル街の一角にある「レディーファーマシー」(大阪市中央区)。温かみのある木を基調とした清潔感あふれる店内で、白衣姿の薬剤師が笑顔で迎える。客の多くは、周辺で働く女性たちだ。

 「女性のかかりつけ薬局として体調の変化や病気の経過なども直接知ることができるので、状況に応じた薬を処方できます」。代表を務める薬剤師、津田充加(みか)さん(34)は説明する。

 以前の勤務先の総合病院で同僚だった薬剤師、坂野実加さん(33)とともに平成28年5月にオープン。総合病院では調合に追われ患者との会話がほとんどなかったことや、自身が婦人科を受診した際、男性薬剤師から薬の説明を受けて抵抗を感じた経験がきっかけだ。

 この薬局の特徴は、単に薬を処方するだけでなく、女性客へのきめ細かな配慮がある。医療用医薬品は基本的に医師の診断と処方が必要だが、処方箋なしで購入できるものも。薬局内では、婦人科系のほか、肌や髪などさまざまな悩みに対応した医薬品を置く。

 こうした薬を女性薬剤師と相談しながら選べるとあって評判は広がり、利用客の約6割を女性が占める。

 津田さんらが相談を受ける中で、病院に行く必要があると判断すれば受診を勧めることもあるという。

 また、来店できない人のためにSNSでも体の悩みや薬の飲み合わせなどの相談を受け付けている。全国の約1400人が登録しており、転勤などで薬局に通うのが難しくなった人からも問い合わせが寄せられる。

 一方、同薬局は、女性特有の疾病の検診の啓発にも力を入れている。10月の乳がん啓発月間にあわせ、31日まで啓発展「12人のおんなたち」を薬局内で開催中だ。神戸市内でランジェリーショップを経営する白井てりさん(40)が製作した磁器製の12人分の乳房を展示し、乳がんの自己チェックの仕方を教えたり検診に行くよう促したりしている。

 目指すのは、女性が安心して症状や悩みを相談できる薬局。津田さんは「これからも多くの女性の悩みに寄り添っていきたい。自分の体と向き合う時間をつくるきっかけにしてもらえれば」と期待を寄せている。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus