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首里城火災でユネスコに被害状況報告へ 世界遺産取消「ない」文化庁見通し

 城跡が世界遺産に登録されている那覇市の首里城で発生した火災を受け、文化庁は31日、被害状況や出火原因が確認でき次第、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に報告する方針を明かした。担当者によると、登録対象は敷地内に残る石垣などの遺構で、今回焼失した建物ではないため、「ユネスコの判断になるが、ただちに登録取り消しという話にはならないのでは」との見方を示している。

 首里城跡は平成12年に他地域の城跡とともに「琉球王国のグスク(城)及び関連遺産群」として世界遺産登録された。これらは14世紀後半から18世紀末にかけての琉球地方独自の文化遺産群で、首里城では石垣や石段、石門など当時の城郭を構成する遺構が世界遺産として認定された。

 一方、今回焼失した正殿などは先の大戦で焼け落ち、平成元~4年にかけて復元されたもので、世界遺産の対象外となっている。

 文化庁によると、ユネスコは火災を含め遺産の管理状況の適切さも登録継続の条件としている。ただ、首里城の遺構の多くは地下にあるため、防火よりも掘削からの保護などが管理上の主な点検事項になっていたという。同庁は遺構への火災の影響は限定的とみているが、被害を受けた可能性も否定できず、早急に調査を進める方針だ。

 担当者は「今回は構成遺産そのものが焼けたケースではないが、首里城は沖縄の文化的なシンボルだ。火災が起こったことは大変遺憾で、今後は国として支援していきたい」と語った。

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