高見国生の認知症と歩む

(26)介護の妻「声かけがうれしい」

 前回に続き、若年性認知症の夫を介護するM子さんのことです。50歳で認知症と診断された夫は現在、63歳。要介護5で、生活のすべてに介助を要するのですが、体は大きくて歩けて、ときには暴力も出るので、介護はとても大変です。

 M子さんに、近所や社会の人たちに望むこと、自治体などからの公的支援について改善してほしいことを尋ねました。

 近所の人にお願いしたいことは、できるだけ声をかけてほしい、ということです。スーパーや散歩の途中で出会ったとき、「こんにちは」とか「お元気ですか」など。反応がないように見えても、声をかけてもらうと本人はうれしそうだし、顔見知りの人にはちょっと手を挙げてあいさつしたりもするそうです。それを見ると家族もうれしくなるし、「ほら、ご近所の〇〇さんだよ」と話題ができて家族も楽しいといいます。

 そして、「見て見ぬふりとか、関わりたくないという態度が一番悲しい」とも。顔見知りの郵便配達の人が、一人で歩いていた夫を見かけて声をかけてくれたときは、とてもうれしかったそうです。

 自治体などに望むことは、本人に合った支援をお願いしたいということです。例えば、尿とりパッドが一律に支給されるのですが、品質やサイズ・機能などが合わなければ役に立ちません。また、デイサービスやショートステイを利用したとき、こちらから家での様子を詳しく伝えるのに、施設での様子や出来事は分からず不安になる、とも。他の利用者にけがをさせたとだけ伝えられ、事情もわからないまま菓子折りを持って謝りに行ったこともあるそうです。

 施設の職員さんには、本人への対応を考えるためにも、できるだけ施設での出来事などを詳しく伝えてほしいと望んでいます。=次回は22日に掲載

                   

 「認知症の人と家族の会」電話相談 平日午前10時~午後3時、0120・294・456

                   

【プロフィル】高見国生

 たかみ・くにお 認知症の養母を介護し、昭和55年に「認知症の人と家族の会」を設立。平成29年まで代表を続け、現在は顧問。同会は全国に支部があり、会員数約1万1千人。

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