試乗スケッチ

ジャガー初のEV「I-PACE」は“ガソリン派”も納得する仕上がり (2/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 エアサスは乗り心地が良く、それでいてフラットライドを実現している。決して足回りが硬く感じることがないのに、コーナーを俊敏に駆け回るのは、前後バランスが整っていることと無関係ではあるまい。

 ガソリン派を自然にいざなう優しさ

 「EVはあくまでも手法のひとつであり、伝統的なジャガーの延長線上にあるのです」-。担当者の言葉に納得した。スポーツカー好きなジャガーらしさが色濃く残っているのである。

 90kWhもの大容量バッテリーを搭載することから、米国テスラと比較してしまうのはサガだろう。だが、テスラが「内燃機関に引導を渡す」と鼻息荒く、あからさまな近未来感覚を強調しているのに対してジャガー I-PACEは、これまで馴れ親しんだ内燃機関の良さを失うことなく、最新の技術と融合させている点が決定的に異なる。

 テスラは過剰にEV感を強調しているがために、たしかに異次元空間で運ばれている喜びがある。だがそれが鼻につくのも事実だ。ジャガー I-PACEには、これほど本格的に開発したEVであるのにもかかわらず、ガソリン肯定派を自然にいざなう優しさがある。

 欧州カーオブザイヤーに輝いたのは、いたずらな先進性だけではなく、クルマとしての正当性が評価されたからなのだと思う。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】こちらからどうぞ。

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