生保が変わったのは保険金不払いがきっかけに
生命保険業界が、世間の目を気にしてか、金融庁の指導の成果か顧客目線に変化しだしたのは、2000年代に起きた保険金の不払いであったと筆者は考えている。手術給付金の対象の少なさに対し、契約者の不満が爆発したため、現在の医療保険はほぼすべての公的医療該当の手術に対して、給付金を払うように変化している。
損害保険業界ではここ数年の自然災害の発生と被害の拡大で、行ったことといえば保険料の値上げ位ではないだろうか。契約者に対して、補償の見直しを促したという事例は、心ある保険代理店は実施したかもしれないが、保険会社が励行したという話を聞くことはない。
保険会社の社員は、大規模災害発生時には応援と称して、被災地入りするのだが、自分たちの過去の行動が遠因となって、保険金を払うチャンスを逸しているという認識が無いようだ。あるのは、「被災地入りして損害保険の大切さがわかりました」という売り手目線の感想で、適切な保険に加入できていなかった人たちへ想いを馳せることができない。
ようやく最近になって、保険見直しの際に水害対応の自動車保険や火災保険の案内をするよう、保険会社が指導を始めたという話を聞いた。しかし遅きに失しており、被災地には何の助けにもならない。まずは契約者に適切な補償への見直しを業界挙げて取り組まねば、火災保険はいざという時に役に立たないという、誤ったレッテルを張られてしまうだろう。
大切な財産を守るには、契約者自身もしっかりと契約内容を確認することが必須であることも付け足しておきたい。
【お金で損する人・得する人】は、FPなどお金のプロたちが、将来後悔しないため、制度に“搾取”されないため知っておきたいお金に関わるノウハウをわかりやすく解説する連載コラムです。アーカイブはこちら