国立民族学博物館(大阪府吹田市)が所蔵するアジアやヨーロッパ、アフリカなど世界各国の衣装から「かわいい」をキーワードに集めた展覧会「世界のかわいい衣装」が、阪急うめだ本店(大阪市北区)の阪急うめだギャラリーで開かれている。
同博物館が所蔵する資料は計34万5千点。このうち、約2万9千点が衣類で、今回はよりすぐりの120点を展示。欧州やアジア、南米などの計41カ国の1920年代から現代の衣装や帽子や靴などの小物などが並ぶ。
鮮やかな花などが刺繍(ししゅう)されたスロバキアの白のジャケットは実は男性用だ。
「日本独自の視点である“かわいい”とは、均一化や当たり前という概念から外れたときに、人は思わず“かわいい”という言葉を発するのではないか、と企画を思い立ちました」と、監修した同博物館の上羽陽子准教授は話す。固定概念ではなく、新しい視点で世界の衣装に触れることで、多様な文化や社会に触れるきっかけになればという思いも込めて開催した。
展示品は、王侯貴族が着用した豪華絢爛(けんらん)な衣装ではなく、いずれも庶民の日常的な衣装や、祭りや結婚式などの特別な日などに着用した伝統的なもの。模様や飾り、刺繍、レースなどの細やかな手仕事からは、それぞれの国の気候や風土、文化を背景に育まれたことを物語る。
たとえば、肩やウエスト部分などにふんだんにギャザーが寄せられた欧州のブラウスやスカートは、裁断技術が発達し、布地もたっぷりとぜいたくに使用する風土をあらわす。
一方、アジアでは、糸を紡ぐ染織物の文化が発達し、直線的で布を無駄にしない風土があり、上着やスカートも直線的に作られている。
インドの婚礼衣装を見学していた大阪市北区の中泰枝さん(38)は、「宗教色のある模様や鮮やかな色がエッセンスになっていて、かわいい感じ。旅に出たくなります」と話していた。
一般600円。25日まで。