鉄道業界インサイド

相鉄・JR直通運転の勝算は 実は3年後に控える“超大型直通計画”の前哨戦 (2/2ページ)

枝久保達也
枝久保達也

 むしろ前のめりなのは東急か

 実は相鉄は3年後に再び「史上最大」のダイヤ改正を行うことになる。今回開業する羽沢横浜国大駅から分岐して北東に10km、新横浜駅を経由して東急電鉄日吉駅までを結ぶ相鉄・東急直通線が2022年度下期に開業する予定だからだ。相鉄が整備する羽沢横浜国大~新横浜駅間は「相鉄新横浜線」、東急が整備する新横浜駅~日吉間は「東急新横浜線」という路線名になることが決定している。

 こちらは「相鉄・JR線」よりも本格的な直通運転を想定しており、朝ラッシュ時間帯は1時間10~14本程度、日中・夜間は4~6本程度の直通列車を運行する計画だ。詳細なダイヤは未定だが、東急日吉駅から東急目黒線を経由して地下鉄南北線、都営三田線方面と、東急東横線に乗り入れて副都心線方面に向かう、3方向への直通運転が検討されている。

 東急にとっては、相鉄から都心に向かう乗客がそのまま自社線利用者に上乗せされるばかりでなく、東海道新幹線の停車駅である新横浜が自社線沿線になるというメリットも計り知れない。むしろ前のめりなのは相鉄よりも東急の方だという話もあるようだ。

 しかし、利用者にとっては「過剰」な便利さになる懸念もある。相鉄から東京方面に向かう列車は、JR埼京線直通、副都心線直通(東急東横線経由)、南北線直通(東急目黒線経由)、都営三田線直通(東急目黒線経由)、横浜行きで、最大5つの方面に行先が分かれることになる。しかも新宿、渋谷はJR経由と東急線経由の2系統が並立する可能性が高く、どちらが先に到着するかなど、乗客の戸惑いは相当のものだろう。

 前代未聞の複雑な直通運転形態は本当にうまくいくのか。まずはその前哨戦となる相鉄とJRとの直通運転開始に注目したい。

枝久保達也(えだくぼ・たつや)
枝久保達也(えだくぼ・たつや) 鉄道ライター
都市交通史研究家
1982年11月、上越新幹線より数日早く鉄道のまち大宮市に生まれるが、幼少期は鉄道には全く興味を示さなかった。2006年に東京メトロに入社し、広報・マーケティング・コミュニケーション業務を担当。2017年に独立して、現在は鉄道ライター・都市交通史研究家として活動している。専門は地下鉄を中心とした東京の都市交通の成り立ち。

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