受験指導の現場から

過去問テキストは鵜呑みにしてはいけない 「おかしい」ときの対処法 (2/2ページ)

吉田克己
吉田克己

 その某国立大学附属中学校は正解を公表していないためこのようなことも起こり得るのだが、ここまでの結論としては、受験する学校によっては、過去問テキストの解答・解説はあまり当てにはならない(鵜呑みにすると危うい)ということである。

1校1科目を1人で対応か

 これは筆者の憶測であるが、試験日から7~8ヵ月で、全有名校の入試問題を解いて解説を書き新年度版に収録するというのであるから、労力的・時間的には相当に厳しい。同じ問題を複数人で解いて、解答・解説を突き合わせ、異同についてはより正しそうな内容に修正するといったプロセスは踏まれておらず、1校1科目を1人で対応しているということなのだろう。

 余談ではあるが、くだんの如く、大学入試における記述式問題の採点を(採点基準は作成されるにせよ)大勢の学生を動員して短期間で一気に行うことには、公平性という観点でも、相当に無理がありそうだ。(念のため断っておくが、記述式問題の採用自体に反対なのではない。むしろ、高校・大学入試問題の一部に、都道府県立高校附属の中・高一貫校のような適性検査型の問題が採用できるのであれば、それは望ましい方向だと考えている。)

1冊だけに頼るべからず

 閑話休題。過去問テキストの話に戻ると、今回の筆者の経験からは、以下のような教訓が引き出せる。

  • 学校によっては(出題形式によっては)過去問テキスト間で「正答」に異同がある。1冊だけを見て、それが正解と思い込むのは危うい

 また、以下のような対応が望ましいと言えそうだ。

  • 第一志望校については、過去問テキストを2種類(以上)用意して、解答・解説を比較すべし
  • 過去問テキストに限らず、同じ問題に対する「正答」の異同を見つけたら、躊躇せずに塾の先生に質問(相談)すべし

 いずれにせよ、「おかしいな?」と思ったら、受験生本人が自ら行動して、調べたり質問したりして解決するというプロセスは、受験勉強などを通して体得していくべきスキルとして、とても大事なことのはずである。

京都大学工学部卒。株式会社リクルートを経て2002年3月に独立。産業能率大学通信講座「『週刊ダイヤモンド』でビジネストレンドを読む」(小論文)講師、近畿大学工学部非常勤講師。日頃は小~高校生の受験指導(理数系科目)に携わっている。「ダイヤモンド・オンライン」でも記事の企画編集・執筆に携わるほか、各種活字メディアの編集・制作ディレクターを務める。編・著書に『三国志で学ぶランチェスターの法則』『シェールガス革命とは何か』『元素変換現代版<錬金術>のフロンティア』ほか。

受験指導の現場から】は、吉田克己さんが日々受験を志す生徒に接している現場実感に照らし、教育に関する様々な情報をお届けする連載コラムです。受験生予備軍をもつ家庭を応援します。更新は原則第1水曜日。アーカイブはこちら

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