1万円の失敗を防ぐなら、スタバ代は惜しくない
このとき「選ぶターン」でいったん店を離れることが重要なポイントです。
店内で考えること自体が「買わない」という選択をしにくくなりますし、冷静さをなくした状態で判断をする状況に自分を設定してしまっているからです。
あなたの目の前に販売員がいるということはすぐに結論を出す必要がある状態です。これだけであなたの判断にはバイアス(偏り)が生じます。しかもその販売員にムダな時間を使わせては悪いなぁと意識した時点で、買わないという結論が出しにくくなり、「これは似合うと思うから買うことにしよう」のように自分を無理に納得させてしまうことになります。
そもそもC店で立ち止まって判断するときにA店の商品をフラットに比較することは難しいはずです。かくして私たちは選択を間違います。
フラペチーノを飲みながら頭を冷やす
だとすれば、とにかく一度店を出ることが冷静な判断を行うための重要な手段です。「ちょっと考えますね」とか「他店もちょっと覗(のぞ)いて、また戻ってきます」のようにとりあえず言うべきです。
いっそのこと、「見るターン」では店員とは話さないほうがいいかもしれません。そのほうが予断を与えずにすみます(私はそうしています)。だとすると「選ぶターン」において500円のフラペチーノを飲みながら検討したとしても、コストとしてはまったくムダではありません。むしろ1万円以上の買い物の失敗を回避するコストだと思えば安いものです。
スタバのフラペチーノは高いので頼まないという人もいるでしょうが、むしろこういうときこそ頼んで、自分を冷静に戻す時間を作り、購入するものを吟味する時間を確保してみてください。
「衝動買いしてもいいのはコンビニ」のワケ
時々、衝動買いをしたい瞬間というものは誰にでもあります。衝動買いというのはストレス解消には最高です。しかしその後すぐに後悔する衝動買いはあまりいいものではありません。
もしあなたが衝動買いをしたいという誘惑に駆られているのであれば、最近ではコンビニがオススメです。
まずコンビニの買い物については単価が小さいため、金額ではそれほど大きな失敗になりません。服なら3万円の失敗があってもコンビニなら300円の失敗ですみます。
また、コンビニは「新しいもの」の宝庫です。カップラーメンの新作などは数週間で消えるものもあるほどです。プチプラコスメも日々アップデートされ続けています。またその場で食べてしまうようなものは失敗のダメージも小さくなります。もともと300円くらいおやつを買おうと思っていたとき、外れクジを引いたとしても被害は300円ですみますし、満足度ゼロということはあまりありません。
また、結構侮れないクオリティであることもしばしばあります。コンビニスイーツが驚きの値段でも、デパ地下スイーツに負けず劣らずの味、ということがあったりするからです。
昔、衝動買いをしたくなったら、乾電池を買って衝動を収めるという笑い話を聞いたことがあります。予算は少ないし、いつかは確実に使うアイテムなのはうまいアイデアですが、買い物としての満足度があまりないのが難点です。
どうしてもストレス発散などで衝動買いしたいとき、コンビニに限っては衝動買いを許してみてはどうでしょうか。(ファイナンシャルプランナー 山崎 俊輔)
※本稿は、山崎俊輔『大人になったら知っておきたい マネーハック大全』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。
山崎 俊輔(やまさき・しゅんすけ) ファイナンシャルプランナー。1972年生まれ。企業年金研究所、FP総研を経て独立。執筆活動、講演を多数行っている。著書に『スマホ1台で1000万円得する! マネーアプリ超活用術』(PHP研究所)など。(PRESIDENT Online)