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ローマ教皇・フランシスコが「ゾンビ化する世界」に送った“ずしりと響く”言葉 (1/3ページ)

 38年ぶりとなったローマ教皇の日本訪問。82歳のフランシスコ教皇は日本滞在中、8回のスピーチを行った。コミュニケーションストラテジストの岡本純子氏は「教皇は世界中で問題になっている心の貧困を、『ゾンビ化』といった。これは不安な時代を生きる日本人にずしりと響いたはずだ」という――。

 82歳のフランシスコ教皇が日本人に伝えたかったこと

 38年ぶりとなったローマ教皇の日本訪問。82歳のフランシスコ教皇は11月23日に来日し、4日間の滞在中に各地を精力的に回り、多くの日本人と触れ合い、その心に温かな印象を残した。

 同教皇は初の南米出身で、権威をかさに着ることのない気さくな人柄や、常に「弱者」を思いやる視点に立ち、多様性や寛容性を説く姿勢で知られる。ツイッターやインスタグラムを駆使し、トランプ米大統領によるメキシコとの国境における壁の建設計画を批判したり、異教徒との対話を促進したりするなど、強い発信力と行動力を持つ改革派のリーダーだ。

 16世紀に日本に布教にやってきたフランシスコ・ザビエルが創設メンバーとなったイエズス会出身の初の教皇であり、そのゆかりの地への運命的な訪問となったわけだが、広島や長崎、東京など各地で8つのスピーチを行い、歴史に足跡を刻んだ。

 教皇が「ゾンビの国」日本に残した言葉の本質

 メディアは核兵器廃絶など平和メッセージの部分をこぞって取り上げたが、どのスピーチも聴衆に徹底的に寄り添い、工夫と思いが込められたものだった。

 特に筆者の印象に残ったのが、東京で若者向けに開かれたミサでのスピーチだ(11月25日、東京カテドラル聖マリア大聖堂で行われた「青年との集い」での講話)。いじめなどの経験を語った若者3人に対し、逆境にどう立ち向かっていくのかを説くという格好だったが、事前に用意された他のスピーチとは異なり、熱がこもり、教皇のアドリブもかなり入ったため、予定の時間をかなりオーバーしたという。

 「(多くの人が、人と上手にかかわることができずに)ゾンビ化している」

 とりわけ教皇が強い言葉で警鐘を鳴らしたのは、世界中で社会問題化している孤独、つまり、現代人の「心の貧困」だった。

 やや長くなるが、不安な時代を生きる日本人の心にずしりと響くそのスピーチの一部を抜粋して紹介し(筆者意訳)、そこから私たちが受け取るべき意義を後述したい。

 【フランシスコ教皇のスピーチ内容(筆者意訳)】

 人やコミュニティ、そして全社会が、表面上は発展していたとしても、内側では、疲弊し、本物の命や生きる力を失い、中身の空っぽな人形のようになっている。(中略)笑い方を忘れた人、遊ぶことのない人、不思議さも驚きも感じない人がいる。まるでゾンビのようで、彼らの心臓は鼓動を止めている。なぜならそれは、誰かと人生を祝い合うことができないからだ。

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