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有識者に聞く高齢者の運転免許制度 必要なのは「技術低下を客観視できる機会」

 MS&AD・新納康介氏に聞く

 警察庁の有識者分科会が実施したアンケートでは、現行の運転免許制度を肯定的に捉える高齢者が目立った。現状に固執しているというよりも、ドライバー人生も終盤にさしかかる中で、今よりも煩雑化しかねない新制度への参加を面倒に感じ、消極的になっている心情が読み取れる。

 アンケートからは、高齢者が自分たちの世代の運転を「安全だ」と感じている割合も、各世代に比べて高いことが分かる。しかし現実には、運転技能を支える認知や運動の機能は加齢とともに低下する。

 MS&ADインシュアランスグループホールディングスの調査では、「運転に自信がある」と考える割合は60代後半で43%、70代前半で57%、70代後半で60%、80歳以上で61%と加齢に伴い高まっていた。

 70代後半と80歳以上ではともに8割超が安全運転サポート車(サポカー)を知っていたが、2割超は「サポカー限定免許が導入されても、取得せずに運転を続けたい」と答えてもいる。

 高齢運転者に事故リスクを気付かせるには、事故の悲惨さなどを感情に訴えるだけでは不十分だ。運転技能の低下を数値などで客観的に把握できる機会を設けなければならない。

 分科会の中間報告では、実車試験や高齢者講習の実車指導で運転技能を評価する具体策が盛り込まれた。第三者による判定が下されることで、高齢者の意識は変わっていくだろう。

 ただ、免許更新時という数年に1度のチェックでは心もとない。近年では運転技能を点数化するドライブレコーダーも実用化されており、家族や行政には、高齢者がそうした機器を活用して日常的に自身の技能を顧みることができる環境づくりを期待したい。免許の自主返納の拡大に加え、サポカー限定免許が普及する道筋も開けるはずだ。

 高齢者が車を運転することに後ろめたさを感じるような風潮が形成されるのは望ましくない。車が通院や買い出しといった「生活の足」となっている地域は少なくない。高齢者が長く安全に運転できる環境の整備が待たれる。(談)

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