教育・子育て

ひとり親家庭を支えて10年 NPO法人「リトルワンズ」の目標 (1/2ページ)

 【TOKYOまち・ひと物語】低収入などで住まいの確保に悩む「ひとり親家庭」への支援や交流事業などを展開しているNPO法人「リトルワンズ」の活動が、10年目を迎えた。代表理事の小山訓久(くにひさ)さん(42)は、「子供は未来の主人公。遠い世界のことだと思わないで、少しでも力を貸してくれたら」と呼びかけている。

 リトルワンズは都市で空き家や空き室が増えていることから、不動産業者や大家と家賃交渉して、住まいに困っているひとり親家庭に紹介している。行政とも連携し、関東を中心にこれまで300世帯以上を支援してきた。他にもひとり親の就職や交流支援など幅広く活動を行っている。

 小山さんは東京都出身。「本格的に心理学を学びたい」とアメリカの大学に進学し、社会心理学とコミュニケーションを学び、卒業後はテレビ番組制作に携わった。とある仕事で母子家庭を取材する機会があり、そこで強いジレンマを感じたという。

 「お母さんが求めていることと、支援の現場のミスマッチがある。部屋や仕事がほしいなど、今必要なことはたくさんある。しかし、行政は縦割りで支援のスピードが遅い」

 学生のころ、米国でドメスティックバイオレンス(DV)被害者支援やボランティアの経験があった。「アメリカだと支援のスピードが速い。ここから先はソーシャルワーカー、警察と役割が明確になっている。日本のこの現状を何とかしなくては」と、平成20年に活動を開始し、22年にNPO法人を設立した。

 「家の支援はとても大事。住所がないと行政からの支援も受けられないのに、日本では支援が薄い」と小山さん。

 賃貸物件の空室や空き家をひとり親に貸し出すことで、オーナーと入居者にとってメリットが生まれるモデルを構築した。また、「オーナーや企業も『シングルマザーはお金がないから家賃が払えない』『安い賃金でも働いてくれるから、別に上げなくてもいいでしょ』などと偏見があることもある」と話す。家と人をマッチングするだけでなく、誤解を解くのも仕事の一つという。

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