受験指導の現場から

「娘のために」 栄転断り受験に賭けた父親と塾との齟齬が生んだ不幸 (1/2ページ)

吉田克己
吉田克己

 読者の皆さま、明けましておめでとうございます。お陰さまで、本欄も第12回を迎え、連載開始からちょうど1年足らずとなりました。受験生の親御さんにとっても、勝負の日まで1カ月を切り、日々、神経を尖らせておられることでしょう。

 しかしながら今回は、主に小学4・5年生の受験生予備軍をお持ちの親御さんに向けて、父親の受験との関わり方に潜む、陥りがちな失敗…というよりは「行き過ぎ」の一例について考えてみたいと思う。

 放任から行き過ぎた関与まで 母親に比べ千差万別

 ネット上のあちらこちらで見かける指摘として、「とくに中学受験経験のない父親が、我が子に算数を教える際に1次方程式や連立方程式で文章題を解かせようとして、子どもが塾で習ってきた解法と齟齬をきたしてしまう。結果、子どもの頭の中をぐちゃぐちゃにしてしまって(子どもを混乱させてしまって)、却って成績が下がってしまった」という類を散見する。

 しばしば母親に見られる問題としては、口煩さすぎたり、心配性すぎたり、子どもを構い過ぎたりと、ある程度の共通項が感じられることが多いのであるが、もう一方の父親となると、まったくの放任から入れ込み過ぎまで、幅が広い。

 個別面談の場が「事件」現場と化す

 じつは筆者には、「我が娘の受験に一所懸命すぎる父親」に関する、非常に後味の悪い経験がある。

 主人公は、とある5年生の女の子のお父さんである。その生徒は3クラスのうち真ん中のクラスの下のほう。

《ざっくりとしたレベル感》

Sクラス:国立・御三家・早慶受験者

Aクラス:上位私立進学校・MARCH受験者 ←ここ

Bクラス:中堅私立受験者

 そのお父さん、娘とその受験には稀にしか見ないほど一所懸命で、塾の授業のない日は、日曜日以外は毎日2時間以上、娘の勉強の面倒を見ていた。

 ご案内のとおり、小学生の新学年は前学年の2月から始まるのであるが、新学年のクラス分けを兼ねた塾内模試で、その生徒はAクラスに留まれない結果となってしまった。

 その「事件」が起きたのは1月下旬、新学年に向けての個別面談の場でのことである。もちろん、このタイミングで、6年生をBクラスでスタートしなければならないことも伝えなければならない(いわゆる「クラス・ダウン」である)。

 当時、筆者はまだ新前の口で、そのお父さんのカウンターパートは正社員(以下、X氏)だった。筆者は科目担当として、もう一人の新参講師とともに同席していた。

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