教育、もうやめませんか

机上の空論も大いに結構 科学教育にもビジネスにも「絵空事」が一番大事 (3/3ページ)

野村竜一
野村竜一

 調査・研究活動中心とし、その合間に各分野専門家からのレクチャーが行われた。生徒には初日にお題が提示される。初回は「50年後に人類が抱える課題を想定し、その課題を科学技術で解決する方法を調査し発表せよ」というもので、毎日深夜までグループディスカッションとリサーチが行われた。

 倫理やプレゼンテーション技法など、新しい時代のサイエンティストに必要とされるだろう内容にも取り組んでもらった。最終日である7日目には、プログラムの集大成として、グループでプレゼンテーションを行った。

 約半年かけて準備した第1回サマースクールはManaiの方向性を固めるのに大きな役割を果たした。多くのフィードバックも得られた。講義依頼のためにアプローチした研究者らが口にする科学教育の課題や焦りから、Manaiで育てたい新しい時代の研究者マインドも生まれた。国籍、年齢、性別、信条、経済的な豊かさなどがそれぞれ異なる人間同士の“ごちゃまぜ”環境で学ぶことの重要性も改めて認識した。

 2018年からはスプリングプログラムも開始し、Manai開校までに、計7回の季節プログラムを実施することができた。こうしたプロトタイプづくりにおいてさえ、とにかく理想形を求める必要がある。理想の状態とはまさにビジョンのことだ。ビジョンが描けなければ計画は進まない。調整してばかり、妥協してばかりでは得られる成果も小さい。

 「制約条件の中で物事を最適化し、それにより評価を得る」。このことに我々はあまりに慣れすぎているため、絵空事すら描けなくなっている。仮にそれが机上の空論だろうと絵空事と言われようが構わない。「絵空事を並べること」がまさにプロジェクト・プロデューサーの条件であり、我々が数回の季節プログラムを通して得た、生徒に求めたい資質の一つだ。


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野村竜一(のむら・りゅういち)
野村竜一(のむら・りゅういち) エデュケーションデザイナー
Manai Institute of Science and Technology代表
1976年東京都生まれ。東京大学卒。NHK、USEN、アクセンチュアを経て「旧態依然とした教育が人の学びを阻害している。学びをアップデートさせたい」との思いから起業。2019年秋、サイエンスに特化したインターナショナルスクール「Manai Institute of Science and Technology」を開校した。「サイエンスを武器に世界中で夢をカタチにし、課題を解決できる」人物の輩出を目指す。論理的思考力養成の学習教室「ロジム」も経営。

教育、もうやめませんかは、サイエンスに特化したインターナショナルスクールの代表であり、経営コンサルタントの経歴をもつ野村竜一さんが、自身の理想の学校づくりや学習塾経営を通して培った経験を紹介し、新しい学びの形を提案する連載コラムです。毎月第2木曜日掲載。アーカイブはこちら

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