鉄道業界インサイド

東武・日比谷線直通の「THライナー」、停車駅や座席指定券の発売方法に注目 (2/2ページ)

枝久保達也
枝久保達也

 さらに日比谷線内も北千住~霞ケ関駅間のうち、上野、秋葉原、茅場町、銀座の4駅以外は通過する。これも日比谷線の定期列車としては初めてのことだ。もっとも先行列車を追い越しする設備がない日比谷線内での通過運転は半ば演出的なもので、実際には営業施策上、停車駅の絞り込みが必要だったことと、乗降時間を確保するための措置であろう。

 ちなみに恵比寿行き上り列車は、乗客を全て下した後、恵比寿駅の先にあるポイントで折返しするという。中目黒行きとせず恵比寿行きとしたことについて、東京メトロ広報部は旅客の需要等から判断したとしているが、東急電鉄が管理する中目黒駅での取り扱いを避けたいという思惑もあるのだろう。

 座席指定券の販売方法に注目

 ここ10年で首都圏私鉄各社に急速に広がっている座席指定列車。この潮流を作り出した元祖ともいえる存在が、東武鉄道が2008年6年から東上線で運行を開始した「TJライナー」だ。

 それまでも既存の有料特急列車を朝・夕に「通勤ライナー」として運行する例はあったが、座席の方向を切り替えて普通列車としても使えるロング・クロスシート転換車両を導入することで、これまで有料特急列車を運行していなかった路線にも設定が可能になったのである。THライナーでも、座席の転換が可能な専用の「70090型」車両を4編成新造し運行に充てる計画だ。

 詳細な運行時刻や料金などは別途発表とのことであるが、注目したいのは座席指定券の発売方法だ。現在、東京メトロに乗り入れる小田急の「特急ロマンスカー」、西武鉄道の「S-Train」はホーム、改札で券売機による指定席券販売を行っているが、券売機の新設や維持管理にはコストがかかるだけでなく、発車間際に利用が集中してしまう問題がある。2019年10月から日中の快特列車に指定席「ウィング・シート」を導入した京急電鉄は、座席指定券(Wing Ticket)をチケットレスに限定しており、THライナーでもこうした新たな仕組みの導入に踏み切るかが注目される。

枝久保達也(えだくぼ・たつや)
枝久保達也(えだくぼ・たつや) 鉄道ライター
都市交通史研究家
1982年11月、上越新幹線より数日早く鉄道のまち大宮市に生まれるが、幼少期は鉄道には全く興味を示さなかった。2006年に東京メトロに入社し、広報・マーケティング・コミュニケーション業務を担当。2017年に独立して、現在は鉄道ライター・都市交通史研究家として活動している。専門は地下鉄を中心とした東京の都市交通の成り立ち。

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