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新型肺炎、クルーズ船の客室待機長期化…朝食が昼過ぎに 

 乗船者10人から新型コロナウイルスの陽性反応が確認された横浜港に停泊した後、沖合に離れたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」では5日朝、同日から14日間は船内にとどまるように求めるアナウンスが流れ、乗客には戸惑いが広がった。食事がルームサービスになったことで配膳に時間がかかり、朝食の提供が昼すぎにずれ込むなど、乗客に我慢を強いる事態が出始めている。

 夫とともにツアーに参加した乗客の50代の女性によると、午前8時10分すぎの船内アナウンスで、乗船者10人から陽性反応者が出たことを告げられた上で「感染拡大を防ぐため、ご自身の客室に戻り、待機をしていただくようにお願いいたします」と自室での待機を要請された。

 その後、朝食をルームサービスで配るとの船内アナウンスがあった。しかし、なかなか届かないため、女性は客室のドアを開けて廊下を見渡すと、少し離れた場所に“見張り役”の乗員とみられる男性が1人いて、身ぶり手ぶりで「顔を出さずに室内に戻ってほしい」と指示された。

 ドアを閉めてしばらくすると、廊下から日本人の乗客同士が相談するような声が聞こえてきた。午前11時すぎ、それまでは英語と日本語だったアナウンスに中国語が急に加わり、客室で待機するように求めた。一部の中国系の乗客が客室の外に出たらしい。

 大型客船とあって個室の客室内にはベッドやシャワーが備わり、電気も使える上、プライバシーが守られていて他人の目を気にする必要もない。女性は「今のところは強い不満はないが、旅行の日程分しか身の回り品を持っていないのが心配」と話した。また、食事の配膳が遅く空腹を我慢するのがつらいと訴えた。

 結局、正午前にペットボトルの水が客室に配られた後、焼いたトーストのサンドイッチ、果物が午後1時前に届いた。コーヒーなどの飲み物は添えられておらず、女性は「パンがのどに詰まりそう」と嘆いた。

 その約1時間後にはハンバーガー用のパンにハムとチーズ、サラダがはさまれたサンドイッチなどの昼食がデザート付きで客室に届いた。女性はコーヒーが頼めるか配膳の担当者に聞いたものの、返事はなかったという。

 船内から外部への電話は通じている。女性は2週間は戻れない自宅の防犯対策のため、郵便局と新聞販売店に不在期間の延長を電話で連絡。ただ、郵便局からは「本人が窓口に来て手続きをしてほしい」と求められたため、船内から出られない事情を説明した。その後、今月末まで延長するとの返事をもらえたという。

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