今冬も朝ドラなど、話題作に出演している女優、水野美紀さん。今回出版された著書「余力ゼロで生きてます。」では、出産や子育てのドタバタ劇をありのままにつづった。
壮絶な痛みに耐えた出産、使い方に四苦八苦したベビーグッズ、せっかく作った食事をドリフさながらに顔面に浴びせられた日…夫婦で芸能人なら、さぞかし優雅な生活だろうと想像してしまうが、本書を読めば、笑いあり、涙あり、セレブ感はゼロ。「女優でも出産や子育ての大変さは一緒なんだ」と共感せずにはいられない。
中学生で芸能界にデビューして以来、女優としてのキャリアは既に30年以上。第一線でドラマ、映画、舞台など、さまざまな分野で活躍してきた。そんな矢先に、俳優兼イラストレーターの唐橋充さんと電撃結婚し、ほどなくして妊娠。43歳での出産に挑むこととなる。
「妊娠を知ったときは、うれしいというよりビックリ。まだ心の準備ができていない時でしたね。40歳を超えると自然妊娠の確率は相当低いので、もっと長い旅になると思ってました」
幸い、夫の唐橋さんは育児にとても協力的だという。本書の愛らしいイラストは唐橋さんが担当。夫婦で子供に愛情を注いでいることが伝わってくる。
「子供ができたときもすごく喜んで、なぜか夫が葉酸サプリを飲んだり…(笑)彼なりに色々調べて協力してくれてます」
女性にとって、出産のもたらす影響は大きい。水野さんも妊娠、出産を機に生活が激変。現在進行形で「余力ゼロ」の日々がつづいている。
今、子供は2歳半となり、保育園で元気に過ごす毎日。本書出版後もエッセーをネットに連載し続けているが、撮影がない日に喫茶店や、新幹線の移動中などに書くのだという。締め切りがあることで、子育ての苦労や感動を新鮮なうちに書き残す良い機会になっているようだ。
「子供って本当にネタの宝庫で、お笑いでいうと、ずっとボケてる状態。ツッコミどころが満載なんですよね」
ちなみに、これまでの出産、子育てを振り返って、一番想像と違ったことを挙げてもらうと、真っ先に口にしたのは、出産の大変さだった。
「看護師さんに、産後の体は交通事故でいうと全治1カ月の状態だと聞いて衝撃でした。出産の大変さが、もっと認知されてほしいし、産後に大変なお母さんたちが弱音を吐ける空気がもっと広まってほしいです」
昨今の怪演も話題となり、映像作品に出演する機会は今も引きも切らない。撮影が早朝や深夜に及ぶなど、子育てと仕事の両立は一般人以上に大変そうだが、コツについてはこう語る。
「とにかく周りの手を借りてます。私は妊娠中に実家の近くに引っ越したんですよ。だからうちの親に夫の両親、自分のきょうだい、保育園にも本当にお世話になってます」
都内にしては、保活は比較的スムーズだったというが、今後は子供の学校や教育環境が悩みどころになると考えている。
「田舎と違って、東京って選択肢が多過ぎますよね。これだけ情報があると、ちゃんと調べてないと、何だかサボったような気分になりますし。とりあえず9歳まではやれることをやってあげようかな、と」