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寿命は運命? 不健康な生活習慣でも、意外と元気な人はいますが…

 不健康な生活習慣を続けている人でも、意外と元気な人は少なからずいます。体に悪そうなことをしていても、いま元気なのだから自分は強靭(きょうじん)な体の持ち主なのでは、と思えるのかもしれません。しかし、いつまでもその状態が続くという保証はありません。

 高血圧で私のクリニックに通院している60代半ばの男性患者さんは、たばこがやめられません。やめるようにお話ししても、「まあ大丈夫でしょう」。しかしいつどうなってもいいと考えているわけではないようで、ある時、「もう20年くらいは元気でいられるかな」とおっしゃっていました。

 寿命は運命のようなもので決まっていて変えようがないと感じるかもしれませんが、運の良し悪(あ)しや遺伝的要素はあるにしても、寿命、ことに健康寿命は生活習慣によっても大きく変わるもの。そのことを示す研究結果が1月に英国の医学雑誌に発表されました。

 研究は米国人約10万人を対象に、中年期の健康的な生活習慣とがん、糖尿病、心血管病のない健康寿命の関係を観察したもの。ここでいう「健康的な生活習慣」とは(1)喫煙しない(2)週3・5時間以上の運動(3)肥満していない(4)適度な飲酒(5)良質な食事-の5項目。このうち1つも持たない人は、4つ以上持つ人に比べ、女性で10・6年、男性で7・6年、健康寿命が短くなっていました。当然ながら寿命も短くなっています。

 特に男性で1日15本以上たばこを吸う人や、男女の肥満者では顕著に健康寿命が短くなっていました。ただ、禁煙して10年以上経っている人では健康寿命は2年弱短くなるだけで済んでいます。

 元気な時間を長くしたければ、禁煙に限らずそれなりの努力が必要で、不摂生はいずれその代償を払わないといけなくなるものだと言えます。男性患者さんには、すぐ禁煙しないと20年元気でいるのは難しいとお話ししました。今まであまり具体的に、自分があと何年元気に生きられるか考えたことがなかったようで、私の話に少し驚き、「やっぱり禁煙しようかな」と言い残し帰っていきました。

(しもじま内科クリニック院長 下島和弥)

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