終活の経済学

死後の手続き(1)臨終から葬儀まで (1/2ページ)

 「そのとき」慌てないために

 高齢化が進み「多死社会」に入ったニッポン。人生の総決算「死後の手続き」に関心が高まっている。いつか来る「そのとき」を憂いなく迎えたい。家族を穏やかに送りたい。遺言や相続などのルールを解説する。

 ◆臨終

 現在、亡くなる人のうち「約4分の3」が病院で息を引き取っている。医師から「ご臨終」を告げられたら、死亡診断書が発行され、清拭(せいしき)や着替えなど「死後の処置」(エンゼルケア)が行われる。

 では、自宅や介護施設で亡くなった場合はどうしたらよいだろうか。実は、毎年数ポイント程度だが、病院で亡くなる人の割合が低下傾向にある。一方、少しずつ上昇しているのが、老人ホームなど高齢者施設での「看取り」だ。

 高齢者施設は病院ではなく、生活の場。このため、手順は少し違ってくる。施設で亡くなった場合は、これまでの診療に関わる疾病が原因であれば、かかりつけ医が「死亡診断書」を発行してくれる。

 ところが、かかりつけ医がいなかったり、死因が診療に関わる疾病と「関連なし」と判断されたりすると、警察官による「検視」や、警察医などによる「検案」が行われる。

 異常が認められなければ「死体検案書」が発行されるが、場合によっては、死因を解明するために「行政解剖」されることもある。自宅で亡くなった場合も同様だ。

 「面倒なことになるのでは」と心配する人もいるが、事件性がなければ、早くて数時間程度で家族の元に戻ってくる。

 臨終にあたり、施設ではスタッフの指示に従えばよいが、自宅の場合はかかりつけ医がいるといないとでは対応が異なってくるし、何の前触れもなく死の現実が目の前につきつけられると、なおさら冷静な判断は難しくなるだろう。

 少なくとも、疾病がある場合や、健康に不安を感じたら、かかりつけ医を決めておくこと。終活をするうえでも、大きなポイントとなる。

 ◆搬送・安置

 臨終を迎えたら、すぐにその場で決めなければいけないのが、故人の搬送方法と安置場所だ。葬儀社が決まっている場合は、すぐに連絡をして安置場所まで搬送してもらおう。

 安置場所は、自宅、火葬場併設の安置施設、民間業者の安置施設、寺院の安置施設などがある。高齢者施設に安置場所がある場合は、そこを使用してもよいだろう。最近は、簡単なセレモニーができるような安置施設も増えている。

 葬儀社が決まっていない場合は、葬儀社探しから始めなければならない。病院や施設でも紹介してもらえるし、今はインターネットでも簡単に検索して調べることができる。

 しかし、行き当たりばったりの葬儀社に大切な人のお別れを託し、さらに車1台が買えてしまうほどのお金が動くことを考えてほしい。

 できれば事前に比較検討し、どのような「看取り」「お別れ」をしたいか考えておきたい。

 死亡診断書(死体検案書)を受け取ったら、これらとセットになっている「死亡届」を提出する(死亡を知った日から7日以内)。葬儀社が代行してくれることも多い。

 提出先は故人の本籍地、死亡地、または届け出人の住所地の市区町村役場だ。先々の手続きで使うことが多いので、コピーを忘れずに。

 死亡届を提出すると、「埋火葬許可書」(名称は「火葬許可書」などさまざま)が交付される。これがないと火葬も納骨もできない。火葬場で「火葬済」の押印や記入をしてもらい、納骨当日に持っていく。

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