家族がいてもいなくても

(631)新型コロナが映す時代

 町の郵便局に出掛けたら、中高年の男性同士が「新型コロナウイルス問題」で盛り上がっていた。

 今度、宇都宮までライブに行くとか行かないとか。えっ、そのお年でライブ? などと思ったら、さらにキャバクラにも行くとか行かないとか、

 「だけど、そこで感染してテレビで放送されたら、どうすんだ?」

 なんてことを言ったりしていて、「みんな、なかなかのことをやっているのねえ」と笑ってしまった。

 確かにテレビでコロナ感染者の報告を見ていると、いろんな世代の人たちの思いがけない動きや暮らしぶりがこぼれでてきて、びっくりしたりする。

 考えれば、あの「ダイヤモンド・プリンセス」号に乗船していた方々も、七十、八十代のご夫婦が多かった。日本の富裕な高齢者層の老後の過ごし方って、こんな感じの時代になっているのか、と知った思い。

 しかも、クルーズ船にはなんと3千名も越える人が乗っていて、毎晩、ダンスをしたり、映画やショー三昧の旅を楽しんでいるわけで…。そういった船が今や世界中の海を航行しているらしいのだ。

 こんなふうに小さなことから大きなことまで、変わりゆく時代の姿をいろんな角度から映し出しているこのコロナ問題。世界中の人々の意識を一気に変えてしまうかもしれない。

 なにしろ、テレビに映し出される感染国を示す世界地図は、もうほぼ真っ赤に染まっている。100を超える国と地域で感染者が確認され、大国アメリカにも上陸してしまった。

 大げさに騒ぎすぎる、なんて言う人もいるけれど、どこの国も同じような事態に直面し、それぞれの国の政府がどれほどの危機管理能力を持っているか、世界中にあぶりだされてしまう事態になっているのだ。

 それがすごい。言っていることよりも、やっていること。

 そのことが赤裸々にみえてくる。さらに、それぞれの国の国民性や意識のありようもあらわになっていく。

 あっちの国も、こっちの国も、イデオロギーも宗教も越えて、同じ危機体験をくぐり抜けようとしているワンチームなのね、という気持ちにもなる。

 そう、核を持とうとミサイルを撃とうと、コロナを抑止するなんの力にもならない、という当たり前のことに、私としては目の開かれる思いがしてしまう。(ノンフィクション作家)

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