驚愕のスピードとコーナリング性能
実際には走らせると、富士スピードウェイの直線で263km/hに到達した。5リッターだ6リッターだのスーパーカーなら理解できなくもない。だがA45 S 4マチック+は、青山あたりをトロトロ流しているキュートなAクラスなのである。それがただならぬ速度で駆け抜けるのだから恐れ入る。
しかも驚きは、コーナリングが整っていることだ。4WDの悪癖の一つが抑えられているのである。アンダーステアが顔を出さないのだ。
というのも、前後へのパワーを最大「フロント100:リア0」から「50:50」までオートでコントロールさせる。しかもリアタイヤへ導かれるパワーは、左右に可変する。ドライバーがもっと曲がりたいと意思を伝えれば、パワーを適切なタイヤに分け与えて整える、といった芸当をこなすのである。
アンダーステアが軽微というレベルではなく、むしろテールをスライドさせ、時にはカウンターの必要に迫られるほど、挙動の出し入れは自由自在なのである。もちろん電子制御モードは「レース」である。
F1レースも開催したグランプリサーキットを、縦横無尽に駆け抜けることができた。1.5kmものロングストレートがアッという間に過ぎ去ったのである。AMGが、こんな小粒なAクラスにまで、世界一過激な魂を注ぎ込んでいることに驚かされた。
【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】はこちらからどうぞ。