クルマ三昧

“したたか”トランプ夫妻が人気レース「デイトナ500」に登場した真の狙い (1/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 日本でもっとも政治的影響力のあるスポーツはどれなのだろうか。プロ野球、Jリーグ、テニス、バドミントン…。国技である相撲人気は、特に中高年で安定している。お家芸の柔道人気も不動のようだ。スケート、水泳…。数えあげればきりがない。豊かな日本は、スポーツにことさら思い入れが強い。

 それが証拠に、スポーツニュースは絶えることなく放映されている。新聞のスポーツ欄も、2面を費やしている。経済や政治に列んで、スポーツは国民にとっての関心事なのである。

 モータースポーツ大国

 では、モータースポーツはいかがだろうか? 残念ながらリストの上位には上がってこない。僕もレースで禄を食む一人として寂しいかぎりである。最近では、小学生向けの「将来なりたい職業」のベスト10から、レーシングドライバーが消えてしまった。自動車先進国であり、世界でももっとも多くの自動車メーカーが成立しているのに、その自動車を使ったレース人気がピークに達しないのはいかがなものだろうか。当事者として反省しきりである。

 一方、アメリカでのモータースポーツ人気は凄まじい。特に、8リッターの大排気量エンジンを搭載し、300キロオーバーで接近戦を演じる「NASCAR(ナスカー)」シリーズは全米で数億人が視聴するというから別次元だ。そのなかでも、毎年のこと年初に開催される「デイトナ500」には、100万人もの観客がサーキットに集結するというから桁が違う。全米で2300万人がテレビ観戦するという。腰を抜かしかける数字である。

 もはや東京ドームの安室奈美恵ファイナルと、ラグビー日本代表凱旋パレードが束になっても観客動員では足元にもおよばない。プロ野球やJリーグの比ではないのである。だから、米国大統領のドナルド・トランプ氏がデイトナ500にやってくるわけだ。

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