今回、精製を行うのも、シャイアー買収を機に、約15億ドルを投じて米ジョージア州に設立した製造拠点。安全性が確認され、最新鋭の機器が供えられた環境で世界から集められた血液の精製を急ぐ。
シャイアー買収の真価
武田がシャイアーを買収して約1年3カ月。日本企業としては過去最大のM&A(企業の合併・買収)として注目され、再編が進む世界の製薬業界で大手の仲間入りを果たした。しかし売上高や創薬力などでは上位のメガファーマ(巨大製薬企業)との差はまだ大きく、グローバル競争の厳しいただなかにいる。
そんな中、武田が統合後に力を入れてきた事業の一つに血漿分画製剤がある。平成30年の売上高に占める割合をみるとシャイアーは世界第2位。3700億円の売り上げがあった。人の血液由来の医薬品のため後発薬の参入リスクがなく、収益性も高い。特に免疫グロブリン市場は右肩あがりで成長しており、武田は同社の成長を支える重要な事業と位置付けている。
ただ、まだシャイアーの買収は株式市場では色よい評価を受けていない。株価も、買収計画が明らかになる前の3分の2近くに落ち込んでいる。
しかし武田の岩崎真人取締役は産経新聞のインタビューに対して「シャイアーの買収を公表したときに、期待をかけてくれたのは医師と患者だった」と明かした。シャイアーの強みだった血漿分画製剤は、希少疾患に対する有効な治療薬となる。「シャイアー買収によって、希少で複雑な疾患を抱えている国内の患者にアプローチできる手段が増えたと感じている。シャイアーの希少疾患に対する創薬力に武田のビジネスの基盤が役立つと考えている」
世界が注目する新型コロナの治療薬開発でも、シャイアーの持つノウハウと、武田のグローバルな組織力、開発にかかる知見を生かせるか。シャイアー買収の真価が試される。