大阪府の吉村洋文知事は31日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、夜間から早朝にかけて営業するナイトクラブやバーなど接客を伴う飲食店の利用を自粛するよう府民に呼びかけた。府内でこうした飲食店の従業員や客の感染を複数確認。「放置すれば爆発的な感染拡大につながる可能性がある」と判断したが、飲食店関係者からは「休業せざるを得ない」などと悲痛な声が聞かれた。 クラブやバーなどが立ち並ぶ大阪・北新地。31日夜、以前は多くのサラリーマンらでにぎわっていた通りは閑散とし、本来は営業時間であるにもかかわらず、シャッターが閉められている店もみられた。
「新型コロナウイルスの影響で客が大幅に減り、営業を続けるのはただでさえ厳しい状況だった。利用自粛を求められれば休業も考えざるを得ない」
バーを経営する男性(37)はこう漏らし、「自粛ばかりを求めるのではなく、政府は経営者らへの支援策もしっかり講じてほしい」。別のバーの男性店員(51)も「3月上旬から客が半減している。補償制度の話もあるが、対象や条件などを早く明示してほしい」と訴えた。
大阪・ミナミでも同様の状況だ。南海難波駅前のカフェバーでは通常の約2割にまで売り上げが落ち込んだ。31日も店内の客はまばらで、女性店員(20)は「自粛でさらに人が減るかも」。キャバクラで働く40代男性は週5~6回の勤務が週2回に。「深夜のミナミは今、ほとんど人がおらずゴーストタウンのような状態。職を失うかもしれない」と嘆いた。
客待ちをしていた男性タクシー運転手(61)は「満員電車に乗りたくないからと、タクシーを利用する人もいるが、外国人観光客も減って売り上げの打撃は大きい。自粛要請が追い打ちをかけるかもしれない」と話した。
東京都の自粛要請からわずか1日。吉村氏が要請に踏み切ったのは強い危機感のあらわれだ。
30日までに府内で感染が判明した216人のうち、経路不明の人は約4割の86人。厚生労働省のクラスター対策班が調べたところ、ナイトクラブなどの飲食店に出入りしたケースが複数あることが分かった。
東京では感染者が急増しており、吉村氏は「東京に限ったことではなく、大阪でも似たような状況があると認識している」と説明。感染者は無症状か軽症の場合が多いことを踏まえ、「無自覚でうつしてしまうリスクが高い。他人にうつすのが怖いウイルスだと若い人に知ってもらいたい。接触しないことが一番の対策だ」と強調した。