教育・子育て

新型コロナで少子化大綱策定大幅遅れ 育休給付金引き上げ困難に

 政府が3月末にも閣議決定する予定だった少子化対策の指針「少子化社会対策大綱」の策定が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大幅に遅れている。今回は5年ぶりの改定となり、育児休業(育休)期間中の所得を補償する育休給付金の引き上げが最大の焦点だったが、与党との調整ができず、先送りされたままだ。(永原慎吾)

 政府は、育休開始後6カ月まで休業前賃金の67%、1歳(一定条件で最大2歳)まで50%を支給する育休給付金の引き上げに関し、大綱に「『実質10割』への引き上げを含め検討」などの文言を盛り込む案を軸に調整を続けていた。

 ところが、感染拡大の影響を受け、大綱の策定作業が難航するようになった。

 当初は、育休給付金について、文言を調整している段階で4月初旬に大綱の原案を公表し、パブリックコメント(意見公募)を経た上で同月中の閣議決定を目指す段取りを描いていた。

 しかし、東京都など都市部での感染者の急増を受け、首相官邸や自民、公明両党も会議の回数や参集を大幅に減らした。この結果、大綱の策定は取りまとめ直前で休止した。

 政府は、6月に経済財政運営の指針「骨太の方針」を取りまとめることを念頭に、4月中にパブコメを終えた後、5月の連休明けに政府・与党間で協議を再開させたい考えだが、具体的な日程は固まっていない。

 そもそも、新型コロナの影響で「実質10割」の大綱明記の実現は険しくなっている。育休給付金の引き上げは衛藤晟一少子化担当相や自民党の「育休のあり方検討プロジェクトチーム(PT)」が前向きだが、財務省や厚生労働省は財政負担を理由に否定的だ。

 政府は7日、過去最大の事業規模総額約108兆円となる緊急経済対策を閣議決定。新たな財源を捻出する余地は乏しくなっている。新型コロナへの対応は急務とはいえ、少子化対策の議論が低調になり、大綱策定が大幅に遅れれば、政府の最重要課題である少子化対策が停滞しかねない。

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