ヘルスケア

布マスク、その効果は 「使い捨て」は医療関係者へ (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの感染拡大でマスクの品薄状態が続く中、ガーゼ生地などでマスクを手作りする動きが広がっている。感染予防効果を不安視する声もあるが、専門家は「布製でも感染リスクは下がる。何よりも感染拡大を防ぎ、医療関係者に使い捨てマスクを回すことにもつながる」と語る。(藤井沙織)

 「飛沫を飛ばさない」

 日本では近年、インフルエンザなどの予防目的でマスクをする人が増えた。だが「マスクの主目的は予防ではなく、感染した人がせきなどで飛沫(ひまつ)を飛ばすのを防ぐことだ」と、近畿大医学部の東賢一准教授(衛生学)は話す。

 市販されている使い捨ての不織布マスクの中には、ウイルス侵入を防ぐ効果をうたう商品もあるが、厚生労働省は「予防効果のエビデンス(証拠)は得られていない。ウイルスの侵入を防ぐのは物理的に考えて不可能」とする。ただ、ウイルスを含む飛沫の侵入はある程度防ぐことができるため「特に屋内や乗り物など換気が不十分な場所では、一つの予防策と考えられる」(経済産業省)。東准教授は「ウイルスのついた手で口や鼻に触れるのを防ぐこともできる」と、一定の予防効果はあるとする。

 新型コロナウイルスの感染者には無症状の人も多いため、東准教授は「不織布であれ布製であれ、マスクで感染拡大を防ぐことが重要」と訴える。また、「マスク不足という状況なので、使い捨てマスクは医療関係者などに優先的に回し、一般の人は布製マスクで対応すればいい」とする。

 感染予防でマスクを着ける習慣のなかった欧米でも、着用の動きが広がっている。チェコやスロバキアは、マスクやスカーフなどで鼻と口を覆わずに外出することを禁止。米国では米疾病対策センターがマスク使用を推奨し始めた。

 滅菌ガーゼ使わないで

 手作りマスクは、インターネットなどでさまざまな作り方が紹介されている。ガーゼ生地やハンカチなどを使い、好きな色柄で顔の形に合ったものが作れるが、材料を集める際に避けるべきなのが、傷口などの保護に使う「滅菌ガーゼ」。手作りマスクが広まってから、医療目的で必要な人も購入が難しい状態になり、「手術後のケアで必要なので、マスクには使わないで」などと訴える声が上がっている。

 マスク用のゴムひもも品薄だが、ネット上ではさまざまな代替品が提案されている。髪ゴムなどのゴム類のほか、「多少の伸縮性があればいい」と、レースのひもやTシャツ素材の糸「Tシャツヤーン」、輪切りにしたストッキングを使うアイデアもある。

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