試乗スケッチ

日産GT-R、13年経っても止まない進化 2020年モデル最大の特徴は意外にも… (2/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 走り始めて最初に口をついた言葉

 だが、2020年モデルはかつてのカミソリのような硬派な乗り味ではなく、柔軟な味付けに衣替えしたことが分かる。「あれ、こんなに乗り心地が良かった?」。走り始めて最初に口をついた言葉がこれだ。頼りなさはもちろんないが、脳天を突くような荒い突き上げはなく、雑音も抑えられている。これなら、通勤通学にも使えなくはなさそうだな、と一旦は考えてしまうほどの柔軟性なのだ。実際に通勤通学に使うには、様々な障害が考えられるのだが…。

 それでいて、戦闘力が削がれているわけではないから驚きである。エンジンパワーはデビュー時から大幅に引き上げられ、最高出力は570ps/6800rpmに達した。最大トルクは驚愕の637NM/3300~5800rpmである。それを、前後の駆動トルクを可変する特殊な4WDシステムを介して路面に伝えるのだ。先日、筑波サーキットのアタックで、最速となる59秒台を記録したばかりである。優しくはなっても、丸くはなっていないのである。戦闘力にひとかけらも影はない。

 ちなみに、GT-Rのワイパーは、300km/hでも機能するように開発されている。それが何を意味するか。300km/hに到達する性能を盛り込みながら、たとえそれが雨の日であっても挑めるほどの安定性を盛り込んだことの証なのである。この世界にウエット路面での300km/hに挑む人間がいるとは思えないが、日産がGT-Rに込めた志はその世界にある。日産のスポーツカーを背負う重圧と、圧倒的な破壊力を秘めている。日本にも、世界をあっと言わせるスーパースポーツカーが存在している。そのことだけでも誇らしい。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】こちらからどうぞ。

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