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テレワーク宿泊プランを打ち出した高級旅館 苦渋の臨時休業

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い増加するテレワーク(在宅勤務)をしている人の仕事場を確保しようと、通常より安価な素泊まりプランを今月に入り提供していた栃木県那須町の旅館「山水閣」が臨時休業に入った。東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)在住者の来館を見込み、実際にプラン利用客もあったが、7都府県に政府の緊急事態宣言が発令されたことから苦渋の決断に至った。

 山水閣は昭和初期創業の高級旅館で、普段から東京圏からの客も多い。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、在宅勤務をしている複数の人から「旅館に泊まりながら仕事ができないか」との相談を受けたため、素泊まりプランを用意した。

 館内は広さ約2千平方メートルで、客室は14部屋。3密(密閉・密集・密接)を避けるなど感染防止に配慮して利用してもらうため、プランでは10部屋のみを稼働状態にした。全室にWi-Fiを完備し宿泊料も通常価格の半額ほどで、連泊するごとに割安となる料金設定にした。

 プラン開始とともに問い合わせが相次ぎ利用客もあるなど、多くの反響を呼んだ。しかし、緊急事態宣言が発令されたこともあり、対象地域からの利用客の往来などを原因とした感染拡大の可能性を懸念。10日に営業を休止した。

 休業中の予約も入っていたが、予約客には連絡して理解を求めた。休業は23日までの予定で、24日以降の営業については、感染状況などを踏まえながら判断するという。

 那須地区を在宅勤務の推進エリアとする構想などを計画していた山水閣の片岡孝夫社長(47)だが、「営業したいのは山々だが、命を守ることを考えた場合にやむを得ない」と話している。(伊沢利幸)

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