新型コロナウイルスの感染拡大を受け、各地で飲食店などの営業自粛が呼びかけられる中、休業中の店舗を狙った窃盗事件が相次いでいる。休校措置のため、子供だけで留守番をしている民家に窃盗犯が侵入する事件も発生。警察当局は厳重に施錠したり、子供と定期的に連絡を取ったりして気を付けるよう呼びかけている。
休業の張り紙が“呼び水”に
「何者かが店に侵入したようです」。10日夕、大阪・ミナミのお好み焼き屋の男性責任者(43)に、入居するビルの関係者から連絡が入った。
大阪府は14日から事業者への休業要請に踏み切ったが、同店は6日から自主的に臨時休業中。男性が駆け付けると、店の入り口のガラスが割られ、店内で保管していた仕入れ用の現金約1万円が盗まれていた。売上金や釣銭用の現金は運び出していたので多額の被害は免れた。
同店は休業を知らせる張り紙をしていたが、事件後に外した。男性は「張り紙はお客さんだけでなく、犯罪者にも店に誰もいないことを知らせてしまう」と言い、「今は繁華街でも人通りが少なく、近くの店でも出店荒らしがあったと聞いた。窃盗犯にとっては絶好の機会になっているのではないか」と憤った。
大阪府警によると、大阪市内では別の飲食店でも数十万円が盗まれる被害が発生。神奈川県では3月下旬、複数の店舗を展開する整体院の臨時休業中の店舗を狙った窃盗事件が相次いだ。同県内では同月、無人の店舗に侵入して金品を盗んだり、金庫を壊したりする事件が前月比1・7倍の計44件に増加したという。
休業要請や外出自粛要請が広がるとともに、同様の事件が増加する恐れがある。大阪府警では住民向けの防犯メール「安(あん)まちメール」などを通じ、施設の扉や窓を確実に施錠する▽施設内に現金や高価な商品などを置かない▽防犯カメラ設置などの防犯対策を行う-といった休業中の対策を呼びかけている。
テレビ、照明をつける
休校措置が続くため、自宅に1人で留守番をする子供が巻き込まれる事件も起きている。
愛知県で4月9日、男子中学生(13)が1人で留守番中、インターホンが鳴った。中学生が無視したところ、1階で窓ガラスが割れる音がしたため、怖くなって2階に移動。その後、何者かが家に侵入し、バッグや財布が盗まれた。
また3月23日には、別の家で小学生の男児(11)が1人で留守番していたところ、1階の窓ガラスを割って侵入してきた2人組の男と鉢合わせた。男らは男児に「ずっと前を向いていて」と指示し、その間に室内を物色。クレジットカードや貴金属類などを盗んで逃走した。
同県警は、子供だけで留守番をする際は玄関や窓をしっかり施錠したうえで、家に人がいることが分かるようにテレビや照明をつけておいたり、親が頻繁に子供と連絡を取ったりするよう呼びかけている。