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EU、120兆円規模のコロナ復興基金創設に合意 結束へ一歩

 【パリ=三井美奈】欧州連合(EU)は23日、テレビによる首脳会議を行い、新型コロナウイルスで打撃を受けた経済再生に向け、「復興基金」を創設することで合意した。基金の規模は、少なくとも1兆ユーロ(117兆円)を目指す。新型コロナ対策でバラバラだったEUが、ようやく結束に動き出した。

 復興基金は、被害の大きい観光業や航空業、イタリアやスペインの都市封鎖で生産停止を迫られた製造業を支援する狙いがある。EUの2021~27年中期予算に組み込む計画で、フォンデアライエン欧州委員長は「兆(ユーロ)単位の規模にする」と述べた。イタリアのコンテ首相はツイッターで「すばらしい進展。数週間前には考えられなかったほどだ」と成果をたたえた。

 基金については、オーストリアのクルツ首相が「支援は対象国への貸し付けであるべきだ。債務の共有は受け入れられない」とツイッターで発信。フランスのマクロン大統領は「債務の上乗せになる」として無償融資を主張しており、対立が残る。だが、今回の会議でEU首脳は「コロナ債」と呼ばれるユーロ共同債をめぐる対立を棚上げし、足並みをそろえることができた。マクロン氏は「一部がダメになったら、欧州全体がダメになる」と結束を訴えた。

 EUではイタリアやスペイン、フランスなど9カ国が、被害国支援の仕組みとして共同債の発行を要求。共同債では財政健全国が、南欧の債務国の借金を肩代わりすることになるため、ドイツやオランダ、オーストリアが反対し、「南北対立」が続いた。今月初めにはユーロ圏財務相会合で5400億ユーロ(約63兆円)の支援策が決まったが、コンテ氏は「十分でない」と不満を表明していた。

 欧州委員会によると、EU加盟国が、これまでに表明した緊急経済策の合計は1兆8千億ユーロにのぼる。フォンデアライエン氏は復興基金の設立に向け、現在は域内総所得(GNI)の1・2%のEU予算を、今後2~3年は2%規模に増額する必要があると訴えた。

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