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緊急事態宣言で外出の自粛が求められるなかでも、避けられないのが食料品などの買い出し行為だ。多くの施設が休業している中で、スーパーなどは買い物客で混雑することが増えてきた。買い物時の不用意な感染を防ぐには、どういった点に気を付ければいいのか。(有年由貴子)
レジ前に30人近く
「1メートル前後の間隔をあけてお並びください」「アルコール消毒にご協力を」
宣言の対象が全国に広がった翌日の17日午前、大阪市内のスーパーでは、買い物客に感染対策を呼びかける放送が響き渡っていた。
この日はマスクの特売セールの影響もあり、開店時には混雑を防ぐため一時入場制限も行われた。正午前にも多くの客が来店し、通路の狭い場所などでは客同士がぶつかることも。レジ前には30人近くの行列もできた。
買い出しに訪れた近くに住むパート従業員、竹井まりさん(65)は「今は勤め先が休業中のため外出といえば買い物くらい。感染には十分気を付けているが、レジ待ちの時に前後の人と距離が近く、感染が怖いです」と話した。
店内での感染を防ぐため、スーパー側も取り組みを強化している。
近畿などで展開する「ライフ」では、会計時の密集を避けるため、床に約1メートル間隔のテープを貼ってレジ待ちの客同士に距離を取るよう要請。また、レジ担当者と客の間の感染を防ぐため、レジ前に飛沫(ひまつ)の飛散を防ぐ透明カバーの設置を進めているほか、釣り銭の受け渡しが不要なキャッシュレスでの支払いも呼びかける。
運営会社によると、混雑は正午前後と午後5~6時の時間帯に集中。担当者は「それ以外の比較的空いている時間帯に利用してほしい」と話す。
大阪を中心に店舗を展開する「スーパー玉出」では、入り口に消毒液を設置。買い物かごをこまめに消毒しているほか、密集を避けるよう店内の一部の陳列のレイアウトを見直した。担当者は「来店者を分散させる対策についても検討を進めている」とする。
様々な工夫を
買い物の際の感染を避けるための注意点について、感染制御に詳しい岩手医大の櫻井滋教授は「施設の滞在時間を短くし、人との接触を避けることが重要だ」と話す。
櫻井氏によると、買い出し前にあらかじめ購入する商品を決め、一気に購入して帰宅する▽人が集まらない時間帯を選ぶ▽買い物中は、必要以上に商品に触れず、品定めも最低限にとどめる-といった対策が効果的だ。また、密集を避けるため、「レジ待ちの行列ができている場合はいったん出直すことも考えた方がいいだろう」とも指摘する。
一方、消費者庁などは、ホームページ上で買い物をする際の注意点をイラスト付きで紹介。感染予防に加え、「買い物の際には、咳(せき)エチケットを守り、前後に手洗い・消毒をしましょう」と他の人に感染させない気遣いも必要と呼びかけている。
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