「看取りすらできない」
患者の容体が急変して死亡しても、家族には電話連絡のみで死後も会わせられない。これまで死後処置は専門の職員や業者が行っていたが、感染防止のため、遺体を包む透明の「納体袋(のうたいぶくろ)」に入れて棺に納めるまでの処置を看護師が担う。
「患者が亡くなった場合、今までは家族の方々と一緒に体をふいたり、お別れの時間をつくったりしていた。今は看取(みと)りすらできない。遺体を棺に入れる経験もなかったので、かなりショックだった。気持ちの切り替えが難しく、本当に悲しい」
コロナ病棟の担当になってからは家族への感染を避けるため、自宅には帰らずに病院が用意したホテルで生活する日々が続く。
「屋外で感染している人が多いと聞くので、(ホテルの)外に出ようとは思えない。私も隔離されているような暮らしだ。何か必要なものがあれば、家族がいない時間帯に取りに戻って、誰にも会わないようにしている」
陽性患者を受け入れてから間もなく1カ月。感染のリスクと隣り合わせの状態に不安は強い。医療従事者に感染が広がれば医療崩壊につながりかねない、と危機感も強めている。ウイルスと戦う最前線にいるからこそ、切実に訴える。
「収束はまだまだ先。(国民は)とにかく家にいてほしい。感染することで、自分だけでなく、家族や医療現場の人に感染させるリスクがある。今は我慢して家にいるのが一番安全だと思ってほしい」