終活の経済学

死後の手続き(4)健保・年金・行政 (1/2ページ)

 死亡時から遡って「戸籍集め」

 葬儀が終わっても、遺族は落ち着いてはいられない。健康保険、年金への手続きなど急いで行うことが山積みだ。しかも、古い戸籍謄本を集めるなど、不慣れなものも多い。ポイントをまとめた。

 戸籍法改正期に注意

 家族が亡くなった後の「手続き」で、最初に故人(被相続人)の戸籍を集めると、その後の作業がスムーズだ。戸籍は遺産の「法定相続人」を明確にするために不可欠なもので、金融機関などの手続きでも求められる。必要なのは、故人の出生から死亡までの「戸籍謄本」(全部事項記載証明書)だ。これを死亡からさかのぼって、出生までもれなくそろえれば、故人の生い立ち、同じ戸籍内の家族との関係が分かる。「出生時点から死亡に向かって」でないのは、当時の本籍地が分からずに最初で立ち往生する可能性があるからだ。

 「死亡」に伴う除籍(いつ死亡したか記載され、戸籍から外れる)は、「死亡届」の提出を受け、戸籍がある市区町村役場が行う。通常7~10日程度かかる。この後に戸籍を取るようにする。戸籍には筆頭者と故人が「どこの本籍地から来た」という記載があり、次はその場所の役場に戸籍を請求する。住所や異動年月日を記載した死亡時の戸籍の附票の写しも取っておく。

 故人の戸籍を取得できるのは、配偶者、直系親族(子供、孫、ひ孫、父母、祖父母)か代理人だ。窓口、または郵便で申請する。

 このとき役に立つポイントがある。一般社団法人「しあわせほうむネットワーク」所属の行政書士、花方亜衣さんは「申請書に『相続のために、◯◯の出生から死亡までの戸籍を集めています』と書いた付箋を貼ると、担当者も分かりやすい。気がかりなことを電話で連絡してくれることもある」とアドバイスする。

 転居時などに本籍を何度も変えていなければ、基本的には死亡後の除籍と、既婚者なら結婚したときの親の戸籍からの除籍(分籍)を示す戸籍で足りる。ただし、複雑なのは戦後の戸籍法改正で2回、記載内容や書式が大きく変わったことだ。

 現在の戸籍は、平成6(1994)年の法務省令でコンピューター管理になり、横書きの記載だが、以前は縦書きだった。昭和32(1957)年の法務省令では、長男が筆頭者だった戦前の家単位の戸籍から、「夫婦と未婚の子供」を単位とする戸籍に改められた。

 このため、故人が生まれた年代によって、「改製原戸籍」という書き換え前の戸籍も必要になる。しかも、実際の改製時期は、人口が多い大都市で何年も先になるなど、市町村で大きく異なる。

 例えば、故人が昭和32年の省令前に出生、結婚したとしたら、最低でも(1)死亡による除籍謄本(2)平成6年省令改正前の改製原戸籍(3)昭和32年省令改正前の改製原戸籍(4)結婚による親の戸籍からの除籍謄本-が必要だ。

 プロの目でみると、途中の戸籍が「抜ける」ケースも目立つという。「被相続人の死後、相続人の一人が亡くなると、相続にはその人の出生から死亡までの戸籍も必要だが、この抜けも結構ある」(花方さん)。古い戸籍は旧字体、市町村合併の以前の地名などもあり読み込むには「慣れ」も必要だという。

 2つの申請忘れずに

 死亡届が提出されると、健康保険の被保険者の資格がなくなり、遺族が健康保険証を返却する。故人が自営業者や無職などで「国民健康保険」に加入していた場合は、死後14日以内に住所地の市町村役場の窓口で、資格喪失届を提出し、保険証を返却する。75歳以上で「後期高齢者医療制度」に加入していた場合も、市町村役場に「後期高齢者医療被保険者証」などを返却する。

 故人が現役の場合、会社が所属する「健康保険組合」や各都道府県の「協会けんぽ」、公務員なら「共済組合」に加入していたケースが多いだろう。手続きは通常、5日以内に勤務先を通して行えばよい。被扶養者の家族の場合も同様だ。

 故人が介護保険の被保険者(65歳以上など)なら、介護保険被保険者証も死後14日以内に市町村役場の窓口へ返却する。

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